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 富士山・吉田ルートの登山道は10日に閉鎖されましたが、ゲートをすり抜けて登る人が後を絶たないといいます。今年の登山シーズンには9人が亡くなった富士山ですが、登山者の中にはいまだにTシャツ、短パンなどの軽装で登ろうとする人もいます。

■閉山後も…短パン姿で下山する外国人

吉田ルートの登山道 10日に閉鎖 この記事の写真

 夏の登山シーズンを終えて、10日に閉鎖された富士山・吉田ルートの登山道。入り口には、冬季閉鎖を知らせる看板とともに通行止めと大きく書かれています。

登山道は通行禁止

 山頂につながる登山道は、山岳遭難のリスクが高くなるため通行禁止となり、万全な準備のない登山者の登山を禁止しています。

外国人観光客

 しかし、12日の富士山5合目を訪れてみると、ゲートをのぞき込む外国人観光客がいました。通行止めと書かれた看板の前で記念撮影でしょうか。

外国人観光客
「なんで閉門しているんだ?」
「(Q.危険だから)僕が危険そのものだよ」

 直後、仲間が合流すると…。

外国人観光客
「9月は閉まっているらしい。きょうはダメ」
「なんだよ」 別のゲートから登山道へ

 男性グループは、諦めて立ち去るように見えましたが、別のゲートをすり抜け、登山道の中に入ってしまいました。

軽装の外国人観光客

 さらに、雨が降るなか、閉鎖されたはずのゲートから下山してくる外国人観光客が姿がありました。

ゲートから出てきた外国人
「富士山に登ってきました」
「(Q.何合目まで?)頂上までです」

 朝5時半に出発し、閉鎖された富士山を頂上まで登ってきたと話します。

ゲートから出てきた外国人
「人はたくさんいたわ」
「(Q.危ないので気をつけてください)楽勝よ」
「大丈夫さ。僕ら冒険者なんで」

 12日の富士山山頂の最低気温は5.2℃でした。

「情報もしっかり取っていただきたい」 富士山五合目観光協会
小佐野昇一会長

「夏の延長で暖かい日が続いていますが、ここはすっかり秋のにおい。10月になると、すぐ雪が降ってきたりするので、麓の環境とは全然違いますので。そういう情報もしっかり取っていただきたい」

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■登山者数↓も死亡者数↑ 理由は?

■登山者数↓も死亡者数↑ 理由は?

山梨県側の富士山5合目(10日)

 10日、山梨県側の富士山5合目には、今年最後の富士登山を楽しもうと多くの人が訪れていました。

大阪からの登山者
「(Q.きょうは、どの辺りまで登る?)きょうは、とりあえず7合目。滑り込んで予約しました。ここ(最終日)しか空いていなくて」

 大阪から来たという2人組の女性。7合目で1泊し、山頂を目指すといいます。

10日午後4時 ゲート閉鎖

 そして午後4時、ゲートが閉められ、富士山は夏の登山シーズンを終えました。

去年より登山者数は大幅に減少

 環境省によると、今年の登山者数は17万8085人(9月4日時点)と、去年の20万7690人よりも登山者数は大幅に減少しました。

去年の2倍

 一方で、今年は遭難事故が続出しました。静岡県側では6人、山梨県側でも3人が死亡し、合わせて9人と、去年の2倍以上です。

死亡者数が増えた理由

 登山者数が減ったにもかかわらず、なぜ今年は死亡者数が増えているのでしょうか。その理由が、相次いだゲリラ雷雨です。

ゲリラ雷雨による天気の急変

 先月、静岡県警山岳救助隊がSNSに投稿した動画には、富士山でのゲリラ雷雨による天気の急変が捉えられていました。

 夜間、山小屋から降りしきる雨を撮影していると突然、目の前で雷が落ち、持っていたスマホが飛ばされてしまいます。

目の前に雷

 さらに別の動画では、目の前に雷が落ちる瞬間が捉えられていました。

「天気が悪ければ現場に着く救助の方も時間かかる」 静岡県警 山岳救助隊 隊長
「(今年の)富士山は、雷の被害が非常に多かったので、より危険な状況だったと思います。天気が悪ければ現場に着く救助の方も時間もかかってしまうので、助けられなかった部分もあるのかもしれない」

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■登山者数1.5倍 静岡県「規制及び通行料徴収を検討」

■登山者数1.5倍 静岡県「規制及び通行料徴収を検討」

 今年から始まった山梨県側の入山規制。弾丸登山や混雑を防ぐため、登山者数を一日4000人までと定め、一人につき2000円の通行料を義務付けました。

お盆休み期間の山梨県側の登山者数

 実際、今年のお盆休みの期間では、山梨県側の登山者数は去年より1割ほど減少しました。

山梨県

 山梨県では11日、「弾丸登山が9割減少した」と発表しました。

弾丸登山客

 静岡県側は登山者数がおよそ1.5倍に増え、富士宮ルート9合目にある山小屋では7月、異様な光景が広がっていました。シートで体を覆う人や寝袋で野宿する弾丸登山客で埋め尽くされていたのです。

萬年雪山荘 渡辺和将代表
「雨とか降って濡れたりすれば、体感温度も下がるので、本当に危ない登山だと思いますね」

 「初心者向け」と言われる山梨側・吉田ルートに比べ、「勾配が厳しく難しい」静岡側・富士宮ルートへ人が流れることで、けが人が相次いでいるというのです。

「頂上で意識なし」56歳男性死亡

 7日には、埼玉県狭山市の56歳男性が静岡県側の山頂付近で意識を失い、その後に死亡が確認されました。

男性を搬送した人
「患者さんが心肺蘇生を受けている状況でした。意識が戻らないと。ブルドーザーで搬送しました。その間もずっとAEDと心臓マッサージを行いながら」 「登山規制及び通行料徴収を検討」 静岡県 鈴木康友知事(10日)
「夜通しの弾丸登山でありますとか、軽装登山などのルール、マナー違反が引き続き散見をされました。このため山梨県と足並みをそろえた条例による登山規制及び、通行料の徴収を検討することとしました」

■今年最後の登山を終え下山「ご来光すごかった」

 11日、閉山した富士山最後のご来光は…。

ご来光 大阪からの登山者
「すごーい。めちゃくちゃきれいやん」

 滑り込みで今年最後の登山を終え、下山した大阪からの観光客は…。

大阪からの登山者
「見ましたよ。やばかったよね?」
「やばかった」
「もう真っ赤になっていて、すごかった」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年9月13日放送分より)

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