訪問先のお年寄り宅で、偶然かかってきた電話の内容から詐欺と判断して外出を思いとどまらせて被害を防いだとして、大阪府警泉佐野署は12日、かんぽ生命の主任、村上健一さん(33)に感謝状を贈った。
泉佐野市の泉佐野郵便局に勤務する村上さんは7月24日午後3時ごろ、生命保険を契約している熊取町の70代の女性宅を訪問した。事前に訪問の約束をしていて、玄関先であいさつをして室内に入ると、女性は焦っていた。話をしている途中で電話機が鳴り、「振り込みに行かなければいけない」「ATM(現金自動受払機)の前に着いたらどこに電話すればいいですか」と、やりとりの一部が聞こえてきた。
不審に思った村上さんが電話を終えた女性に尋ねると、「役所からの電話で、医療費の還付があるのでATMで午後4時までに手続きをしなければいけない」との答えが返ってきた。
村上さんはすぐに外出しようとしていた女性を落ち着かせ、「自分も保険の仕事をしているけれど、役所から電話がかかってくるケースはあまりない。ATMでの手続きは怖い。警察に電話するので、ちょっと待ってほしい」とアドバイスした。連絡を受けて近くの交番から警察官が駆けつけ、詐欺の電話だったことが判明した。女性は「(村上さんが)あのタイミングで来てくれなかったら、間違いなく詐欺の被害に遭っていた」と話したという。
この日、同署の酒本和郎署長が「詐欺被害の防止に寄与した。功績をたたえ、深く感謝の意を表する」と感謝状を贈った。村上さんは取材に対し「入社して11年目で初めてのことだった。他の地域で詐欺の事件が起きていると聞いていたので、電話の内容を聞き、『これか』と思った。犯罪に巻き込まれる人が一人でも減ればいいと思う」と述べた。【中村宰和】
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