マイナ保険証の利用実態調査結果を公表する愛知県保険医協会の荻野高敏理事長(中央)ら=名古屋市中区で2024年9月12日午前10時22分、加藤沙波撮影

 マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」の有無に関わらず、子どもが医療機関を受診する際に97%の保護者が現行の健康保険証を利用していることが、愛知県保険医協会の調査で分かった。同協会は「デジタルに強いとされる若い子育て世代でも、マイナ保険証は使いにくいものになっている」とし、現行の保険証を廃止しないよう訴えている。

 調査は6~8月にオンラインで実施し、高校生以下の子どもがいる保護者2242人から回答を得た。

 子どものマイナカードは67・1%が未取得と回答。その理由を複数回答で尋ねたところ、「マイナンバー制度が信用できない」(86・3%)▽「情報の流出が不安」(75・6%)▽「メリットを感じない」(71・4%)といった声が多かった。

 子どものマイナカードを取得している保護者の49・1%が健康保険証とひも付けしていると答えたが、そのうち医療機関の受診時に「マイナ保険証を利用している」と答えたのは約17%にとどまった。

 全体ではマイナ保険証の有無に関わらず97・3%が現行の保険証を利用していると回答。理由は「現行の保険証の方が楽」が65・2%と最も多く、「利用方法が不明・煩雑」も3割を超えた。

 自由記述の回答では「体調の悪い子を抱えて受診するのに、マイナ保険証だと(受付での操作で)ボタンを何度か押すなど手間が増えて大変だった」「なくしやすい保険証を個人情報が満載のマイナンバーカードと一体化するのは恐ろしい」などと不満や不安の声が上がった。

 現行の保険証は12月2日から新規発行が停止され、原則廃止になる。12日に告示された自民党総裁選では廃止時期の見直しを訴える候補者もおり、同日会見した同協会の荻野高敏理事長は「マイナ保険証は使い勝手が悪く、混乱が生じている。私たちの望みが反映されるといい」と述べた。【加藤沙波】

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