同性カップルに発行する住民票の続き柄を男女の事実婚と同様の表記にできる運用が、三浦半島の自治体で広がっている。7月に横須賀市が県内で初運用したのを皮切りに、逗子市と葉山町でも9月から運用を開始。三浦市でも前向きに検討を始めているという。
横須賀、逗子、葉山の3市町ではこれまで、同居する同性カップルに住民票を発行する際、世帯主のパートナーの続き柄を「同居人」や「縁故者」と表記していた。
ところが5月に長崎県大村市が、男性カップルに対し世帯主のパートナーの続き柄を男女の事実婚に使われる「夫(未届)」と表記して発行。これをきっかけに、横須賀市でも性的少数者のカップルなどを公的に証明する「パートーナーシップ宣誓制度」の利用者が希望すれば、同性パートナーの続き柄を「夫(未届)」や「妻(未届)」に表記できる運用に改めた。
県内でこの動きに同調したのが隣接する逗子市と葉山町だ。もともと横須賀、鎌倉、逗子、三浦、葉山の5市町はパートナーシップ宣誓制度の相互利用協定を結んでいる間柄だった。5市町内で引っ越しても、転出前の自治体で交付された宣誓証明書を転入先でも使える仕組みだ。
逗子市の桐ケ谷覚市長は、8月27日の記者会見で続き柄表記の運用変更を発表する際、「行政として同性カップルの関係を尊重し、これまで以上に寄り添うことができる。広域連携を結んでいる横須賀市と大きな差はなくやるべきだと考えた」と述べた。
さらにこれに刺激を受ける形で、三浦市でも同性カップルの続き柄表記の変更について内部で前向きに検討しているという。担当者は「具体的な開始時期や表記の仕方については決まっていないが、いろいろな角度から一番良い方向を考えていきたい」と話した。
一方、総務省は7月、住民票は社会保障制度の適用を判断するための公証資料として用いられていることから、同性カップルにも男女の事実婚と同一の表記を使うことについて「実務上の支障をきたす恐れがある」との見解を全国の自治体に示した。
運用を改めた3市町ではいずれも「同性カップルの法的権利を保障するものではない」としているが、鎌倉市では総務省の見解に基ついて続き柄表記の変更は現時点では考えていないという。【蓬田正志】
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