問題の全面的な解決を求め、長崎市と長崎県に要望する原告団長の岩永千代子さん(前列中央)ら=長崎市で2024年9月10日午後4時24分、尾形有菜撮影

 国が指定した援護区域外で長崎原爆に遭った被爆体験者44人のうち15人だけを被爆者と認めた9日の長崎地裁判決を受け、被告の長崎市と長崎県は10日、鈴木史朗市長と大石賢吾知事が11日に上京し、厚生労働省と対応を協議すると発表した。原告団は10日、市と県に対し、原告以外も被爆者と認め、問題を全面解決するよう訴える要望書を手渡した。

 9日の判決は、原爆投下後に爆心地の東側の旧矢上村、旧古賀村、旧戸石村(現在はいずれも長崎市)に放射性物質を含む「黒い雨」が降ったと認定。3村にいた15人に対し、被爆者健康手帳を交付するよう市と県に命じた。一方、3村以外にいた残る29人の訴えは退けた。

 29人のうちの一人でもある、原告団長の岩永千代子さん(88)は「雨には放射性物質が含まれていたが(より証言が多い)灰には含まれていなかった、というめちゃくちゃな判決があってもいいのか。放射性微粒子は方角に関係なく、ばらまかれたという実態を知ってほしい」と話した。

 同じく被爆者と認められなかった原告の山内武さん(81)は「被爆者と認められた15人について、市と県は『控訴するな』と国に強く言ってほしい。私たち被爆体験者は被爆者だ」と訴えた。【尾形有菜、樋口岳大】

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