防衛省=東京都新宿区で、小川昌宏撮影

 海上自衛隊員が基地内の食堂で代金を支払わず不正に飲食していた問題で、海自は10日、東京業務隊に所属する30代の3等海曹を停職10カ月の懲戒処分にしたと発表した。7月12日に公表した22人の一斉処分に含まれていなかった。他に調査中の隊員も2人いるといい、この問題を巡る不正飲食の総額は約160万円からさらに膨らむ見込みだ。

 海自によると、3曹は2020年4月~22年10月、東京・市ケ谷など複数の基地で調理業務に従事していた際、「味見」と称して代金を支払わずに計約290食(約10万円相当)を食べた。調理業務従事者は基地内に居住していれば無料で食事を提供されるが、3曹は対象者ではなかった。返金を求めるという。

 海自は3曹の動機や弁明を明らかにせず、一斉処分から漏れた理由は、7月12日時点では休職中だったため、処分に向けた調査が停止されていたとしている。

 一斉処分を公表した際、海上幕僚監部の担当者は、20年度から3年間分の調査を完了した旨の説明をしていた。海自トップの斎藤聡海上幕僚長は10日の定例記者会見で「(3曹の不正飲食を)7月12日に公表するのが良かったのか、海幕でも今後しっかりと分析し、公表の仕方に反映していく」と説明。そのうえで「隠すとか、不正額を小さく見せるとかいった意図は全くない」と強調した。【松浦吉剛】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。