長崎地裁の判決を受け、広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を巡る訴訟の原告や弁護団が広島市で記者会見し、落胆の表情を浮かべた。
広島地裁では、援護区域の外で黒い雨を浴びた住民ら84人全員を被爆者と認めた広島高裁判決(2021年7月)後の新基準でも、被爆者と認められなかった人たちが処分の取り消しを求めて争っている。原告団長の岡久郁子さん(83)=広島市西区=は「長崎の原告全員が被爆者として認められなかったことに怒りや悔しさを感じる」と批判。「長崎の原告らを応援し、広島と一体となって問題を決着させたい」と話した。
弁護団の事務局長を務める竹森雅泰弁護士(46)は、広島高裁判決が被爆者の認定を巡り「健康被害を否定できなければ被爆者にあたる」と判示したのに対し、今回の判決は「健康被害の可能性がある事情の下にあった者」という表現にとどまったことに触れ、「立証のハードルが上がった」との見解を示した。その上で、「残留放射線の検出を示す米軍の報告書など客観的な証拠と証言が提出されていたのに、認定されないのはおかしい」と疑問視した。【武市智菜実】
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