警視庁=米田堅持撮影

 高級腕時計を中国で転売すると利益が出るとうその投資話を持ちかけてだまし取ったとして、警視庁捜査2課は4日、東京都港区の会社役員、出口貴浩(40)と台東区の職業不詳、石谷優樹(30)の両容疑者を詐欺容疑で逮捕した。

 警視庁によると、2人は2018年10月からの約4年半の間に、40都道府県の約600人から少なくとも計約3000本の腕時計をだまし取ったとされ、被害総額は約75億円に上るとみられる。

 逮捕容疑は18年12月上旬ごろ、埼玉県の20代男性に腕時計の転売を委託すれば「購入にかかった代金全額と売却利益の半額を支払う」などとうそをつき、高級腕時計「オーデマピゲ」1点(販売価格255万円)をだまし取ったとしている。警視庁は2人の認否を明らかにしていない。

 警視庁によると、2人は「IKUSHIPE(イクシペ)」の社名で口コミで顧客を集め、「中国で売れば、買値の2倍になる」などと説明。高級腕時計を購入して、販売委託を結ぶよう持ちかけていた。実際には預かってから数日のうちに、東京都や大阪府内などの買い取り店で購入代金より安い値段で転売していたとみられる。

 顧客には購入代金の一部のみが支払われるだけで、その後、連絡が取れなくなるケースが大半だった。だまし取られた3000本のうち、9割ほどが「ロレックス」だったという。

 また2人は一部の顧客に、別の購入者を紹介するよう依頼。販売委託が成立すると、腕時計の購入代金の1割を仲介手数料として支払っていたとされる。腕時計の売却益は、他の購入者への支払いに充てていたとみられる。

 売却益のうち約20億円の使途が不明となっており、警視庁は、2人が私的に流用した疑いもあるとみている。【遠藤龍】

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