■お墓も多様化!? “墓じまい”は過去最多に
展示されているのは「古墳のミニチュア」。実はこちら…。
株式会社前方後円墳 竹田恒泰代表取締役
「大きな区画にまとめてご遺骨を入れると、そこに何千人もの方が入ることができます」
手入れが少ない点などから今、こうした新しいお墓のかたちが増えています。
葬儀や相続などいわゆる「終活」に関するサービスを集めた国内最大級の展示会「エンディング産業展」。
厚生労働省が4月に発表した推計によると、2050年には全世帯のおよそ44%が1人暮らしとなり、そのうち65歳以上は半数近くを占めるといいます。
そんななか、注目されている考え方が…。
株式会社前方後円墳 竹田恒泰代表取締役
「身寄りのない方もいらっしゃいますし、子や孫にあまりお墓というものを背負わせたくないというような方が自分の代で『墓じまい』をしようということを考えてる方が多いですね」
供養の方法を見直し、墓石を撤去する「墓じまい」。その件数は2022年度、全国でおよそ15万件に上り過去最多に。
終活への考え方が多様化するなかで、兵庫県ではある取り組みが行われていました。
■「いつか同じお墓に」“墓友”と生前交流
「終活中」 桂辰治さん
「“墓友”というつながりは素晴らしいと実感しています。同じ墓に入る仲間なので、お墓の中に入るまでこのつながりを大事にしていきたいなと思っています」
複数の故人の遺骨を同じスペースに埋葬する形式の共同のお墓「合同墓」。兵庫県高齢者生協では合同墓の契約者たちが、互いを「墓友(はかとも)」と呼び合い、生前に交流をする取り組みを行っています。
「終活中」 桂辰治さん
「ママ友とか○○友やら色々あるが、その中に「墓友」というつながりがあるんやと。非常に楽しい会だなと感じています」
神戸市に住む桂さん。「将来、お墓が子どもたちの負担になるのでは」と考え、「墓じまい」をして、合同墓に入る決断をしました。
契約者からの「生きているうちに顔を合わせる機会があってもいいのでは」という声を受けて始まった食事会は、参加者にとって大切な時間だといいます。
合同墓の契約者
「今、皆さんと仲良く、『こんな人いたな〜』というのは知っていた方がお友達になれるじゃないですか。先々月こけて、ひじを打って骨折しました。ちょっとのことで折れるんですよ。皆さん気を付けて下さい〜」
「残念だけど耳が遠なりまして、ほとんど聞こえないです。きょうも補聴器忘れてきて、皆さんの会話もあんまり聞こえないけど楽しみます」
参加者には1人暮らしの高齢者も多くいるなか、会を主催する藤山さんはこの会を「新たな出会いの場」にもしたいと話します。
兵庫県高齢者生活協同組合 藤山孝さん
「最終目的は一緒のお墓に入るんだということになりますので、そういう共通認識のなかで今まで知り合えなかった人とも話ができて、より深く今後の付き合いもできることになる」
こうした「終活」を巡っては、その“捉え方”に、コロナ禍で大きな変化があったといいます。
■終活は「見直す・増やす・始める」に変化
ハルメク生きかた研究所 梅津順江所長
「今までは終活というのは、整理、処理、畳む、減らす、捨てる、辞めるなどマイナスにする方向が多かったと思うんですけど、2023年の調査では、見直す、増やす、始めるというのも終活に含まれてきたことが分かった。(『終活』の領域が)かなり広がったなという」
ただ身辺を整理し人生を終える準備をするだけではなく、より豊かな最期を迎えるために、新たに何かを「始める」ことも終活の一つだと捉える人が増えているそうです。
楓佳浩さん(66)
「雰囲気がすごく良いでしょう。こういう感じが好きなんで、ここでずっとボーッとしてるだけでも」
兵庫県西宮市に住む楓さん、66歳。去年、仕事を退職し、今は古民家を借りて生活し、趣味の旅行を楽しむなど、第二の人生を歩み始めました。
楓佳浩さん(66)
「これからどうするか、自分の居場所を探している。後半の人生、残りの人生を豊かにしたい」
人生の終盤へと向かうにあたって、楓さんにはひとつ、叶えたいことがあるといいます。
楓佳浩さん(66)
「家内が5年前に亡くなって、それまでは家内とよく旅行に行っていたので、一人になってしまって…宮古島によく行くんですが、『宮古ブルー』というすごくきれいな海の青さとか見た時に、『わ、これすてきだね!』って感動を分かちあえる相手がいないというのはやっぱり寂しいというのはありますね。人生の終盤に向かって一緒に歩んでいける人が新しくできたら、それに越したことないと思いますね」
この日、楓さんが思い切って参加したのは、シニア向けの婚活バスツアーです。
■「最後は相手欲しい」シニア婚活ツアー3倍に
ツアー会社によると、シニア向けの婚活バスツアーの申し込み者数はコロナ前と比べ、3倍ほどに増えているそう。「最後を一人で迎えたくない」「孤独死は避けたい」など、終活の一環として前向きな理由で参加する人が多いのだといいます。
参加者(58歳)
「やっぱり1人ではぼつぼつ寂しいなと…」
「(Q.どんな時に寂しさを感じる?)仕事から帰ってきて、電気がついてない部屋…」
参加者(60代)
「素敵な人見つけられたら…もう最後やし。もう年やし、相手もいないし。最後は相手ほしいかなって思って」
「(Q.どんな人と出会いたい?)優しくてお金持ちで…わくわくしてます!」
この日は男女28人(平均年齢62歳)での大阪から滋賀への日帰りバスツアー。バス内では休憩のたびに席替えを行い、プロフィールカードを交換するなど参加者全員と自然に話せるような工夫もされています。
楓佳浩さん(66)
「旅行はどんなとこ行きはるんですか?」
参加者(女性)
「クルージングに」
楓佳浩さん(66)
「中で色々なイベントもあるんでしょ?」
参加者(女性)
「カラオケやったりダンスのレッスン受けたり、私それを『デイサービス』と思って」
観光タイムでは気になる相手とじっくり話せるよう、グループ行動の時間やフリータイムなども…。
楓佳浩さん(66)
「(Q.今のところどんな感じですか?)まだちょっと深くは、楽しく話せてはいるかな…」
旅の行先やプログラムもシニア世代用に組まれ、ツアー自体の満足度が高いのも人気の理由です。
参加者(女性)
「一応婚活も半分はあるけど、バス旅行自体行きたいのもあって…。それでいい人見つかったらラッキーという」
「(Q.どんな人がいたら?)あの、私年下でないとだめ」
「(Q.理由は?)理由っていうか昔からそうやねん。自然と年下が寄ってくるというか」
一方の楓さんは…。
楓佳浩さん(66)
「気になっても誰かが横にいたら、話にはいけないですよね…中々難しいですね…」
彦根城の散策や城下町での食べ歩きを終え、旅の最後はカップリング発表。より深く知りたいと思った人を記入し、思いが重なれば、連絡先を交換することができます。
ツアー添乗員
「それでは最後9組目、男性2番、女性10番さんです。どちらですか?はい!おめでとうございます〜」
楓さん、見事、女優・眞野あずささん似の女性とマッチング。
楓佳浩さん(66)
「(Q.お互いどの辺が気になった?)あの、やっぱり上品で素敵な」
参加女性
「(Q.お互いどの辺が気になった?)紳士な対応で素敵だなと」
楓佳浩さん(66)
「こんな出会いがあったのですべてOKかなと思います」
ツアーの運営会社は、カップルとして成立しなくても、このツアーをきっかけに、普段新たな出会いが少ないシニア世代がつながることを大切にしたいと話します。
株式会社アイリスツーリスト 代表取締役 駒井直人さん
「残りの健康寿命を考えた時に、その時間を無駄にするよりかは、新しい場所に行って、人と出会ってというのがすごく楽しいんじゃないかなとは思います」
参加者一同
「では、皆で飲みにいってきます〜ありがとうございました〜」
(「サンデーLIVE!!」2024年9月1日放送分より)
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