自殺したプロレスラーの木村花さんに対する中傷投稿で苦痛を受けたとして、木村さんの母親が大阪府の女性らに約300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は30日、請求を棄却した。山本拓裁判長は中傷の証拠とされたツイッター(現X)の投稿画像は「捏造(ねつぞう)の可能性を否定できない」と述べ、女性らの投稿だとは認めなかった。
この画像を根拠に不当な裁判を起こされたとして、女性側が計880万円の賠償を母親らに求めた訴訟も併合審理され、判決は「(母親側が)捏造を容易に知り得たとは言えない」として訴えを退けた。
判決によると、木村さんはテレビ番組出演後に多くの中傷を受け、2020年5月に自ら命を絶った。母親側は「息してるー?」「ってもう遅いか」などと投稿された画像を入手。表示されたアカウント情報から女性らを特定した。女性側は投稿自体を否定し、第三者に捏造されたと反論していた。
判決は画像について、投稿日時などが表示されていない点に着目し、「加工された可能性が高い」と言及。捏造も否定できないことを踏まえ、画像にあるアカウントから投稿されたと認められないと判断した。
一方で、母親側が女性らを訴えた妥当性も検討した。画像は一見して捏造だと見分けられないとしたうえで、女性らが投稿していないと知り得たとも言えないと指摘。「提訴が著しく相当性を欠くとは認められない」と結論付けた。
母親側は訴訟の中で「画像の捏造に思い至ることは不可能だ」と主張。判決を受け、代理人弁護士は「守秘義務があるので回答できない」とコメントした。
女性側の代理人弁護士は取材に「厳しい判決だ。控訴するかどうか相談したい」と話した。【木島諒子】
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