労働組合の連合は27日、個人請負の形で働くフリーランスの労災保険特別加入の事務手続きなどを行う団体「連合フリーランス労災保険センター」(理事長・清水秀行連合事務局長)を設立した。フリーランスは、労災保険に特別加入できない業種も多かったため、労災保険加入を可能にする新たな動きとして注目される。
センターは、フリーランスの労働環境保護などを目的に11月1日にフリーランス新法が施行され、フリーランスに対する労災保険の特別加入制度が全業種に拡大されることを受けて設立された。保険への加入は、特別加入団体を通じて行うことになっており、連合は「センターを設置し、加入を求める労働者の窓口になる」としている。
センターでは特別加入に関する申請や災害発生時の労災給付請求などの事務手続きや問い合わせ、相談への対応を行う。また、安全教育の実施や制度のPRなども行う。連合傘下の全国各地の地方連合とも連携して加入を支援する。
加入の対象者は、個人請負で働く人で、建設業の「一人親方」など一部の業種に限られていた特別加入が全業種に広げられた。希望者は、センターの場合、月600円の会費を支払い、自身の収入に見合った給付額を選択して年間の労災保険料を支払うことで、労災の休業給付や亡くなった場合の遺族給付などが受けられる。
これまで、一部の職種以外の個人請負の人は労災保険に加入できなかった。職種別では講師やインストラクター、営業職、データ入力、文書入力などが加入できていなかった。清水理事長は「安心して働けるよう加入を広げると共に、労働者性の高い人には労働者として扱われるように取り組んでいきたい」と話している。
労災保険制度、認知不足
連合の実施したフリーランスとして働く人の意識・実態調査2024によると、「仕事中や通勤途中に休業しなければならないようなケガや病気を患った」とする人は20%おり、そのうち46%が1カ月超の休業が必要だったと回答した。休業が必要なケガをした人の37・5%が労災保険の特別加入を望んでいた。一方、労災保険制度について「分からない」と答えた人が40・5%おり、制度の認知不足も浮かんだ。
調査は今年6月、インターネットを通じて実施し、1000人の有効回答を得た。【東海林智】
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