過酷な戦場の現実や加害行為のため、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など「戦争トラウマ」に苦しんだ旧日本軍兵士らの実態調査の対象について、武見敬三厚生労働相は27日の閣議後の記者会見で、「基本的には戦傷病者と認定された方を考えているが、専門家の意見なども踏まえて検討したい」と述べた。戦傷病者に認定されず死亡した元兵士も対象とすることに前向きな姿勢を示した。
厚労省は今年度、初の実態調査に着手。旧陸海軍病院を前身とする国立病院機構などに、治療を受けた兵士のカルテなどの資料が残っていないか照会し、協力を求める。戦後80年を迎える来年度にも、戦傷病者史料館「しょうけい館」(東京都)での展示を目指す。
厚労省によると、展示には客観的な根拠が必要になるため、カルテなどの資料が残っているなどの理由から現時点では対象を戦傷病認定者に限っている。今後、同館の運営有識者会議などで専門家から意見を聴き、調査対象を検討する。
問題を巡っては、PTSDに苦しんだ元兵士の家族らが語り合う市民グループ「PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会」が国に調査を求めてきた。【肥沼直寛】
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