ピロシキなどが並ぶ「リトル・ウクライナ」。(左から)ヒロボドスキー・オレクサンドルさん、小野ヤーナさん、ニナさん=大分県別府市中央町で2024年4月20日午前10時1分、石井尚撮影

 ロシアによるウクライナ侵攻で来日した避難民と大分県別府市民との交流の場を目指し、ウクライナの家庭料理を提供する料理店「リトル・ウクライナ」が20日、同市中央町のべっぷ駅市場内に開店した。避難民の働く場の創出も狙いだ。月曜定休。

 避難民の支援を続けるNPO法人「ビューティフル・ワールド」が運営。開業の背景には、ウクライナに対して関心が低くなっていることがある。NPOの活動費の多くは寄付でまかなっているが、ウクライナ出身でNPO理事長の小野ヤーナさん(41)は「寄付は侵攻直後に比べ約80%減った」と話す。収益はNPOの活動費にも充てたい考えだ。

 店を切り盛りするのは、小野さんの両親で、父ヒロボドスキー・オレクサンドルさん(65)と母ニナさん(65)。2人は小野さんの活動を手伝うため、2023年11月に同市に移住した。まだ日本語が十分に理解できないため、客が2人に渡す食券は料理ごとに色分けした。店頭には「ヂャクユ―ありがとう」などとウクライナ語と日本語を併記したフレーズ集を掲示、交流を促せるよう工夫した。

 店名は避難民の多くが暮らす市営住宅を地域住民が「リトル・ウクライナ」と呼んでいることから選んだ。店では、基本メニューとしてボルシチ(650円)、ピロシキ(300円)、クレープのような料理、ムリンチ(2枚500円)などを提供する。その他、市在住の避難民が家庭で作ったピラフなどをスペシャルメニューとして販売する予定。

 小野さんは「男性はすぐに仕事が見つかるが、高齢の女性は難しい」と説明し、2人以外にも避難民に交代で働いてもらい、生活費の支援にもつなげたいという。

 営業時間は火曜から金曜までが午前8時半~午後2時。土、日曜は午前10時~午後3時。【石井尚】

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