就労していた作業所の施設長だった男性からわいせつな行為を受けたとして、知的障害のある女性が元施設長側に300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、元施設長と施設を運営する都内のNPO法人に150万円の支払いを命じた。新谷祐子裁判長は「障害者虐待防止法が規定する性的虐待に当たる」と認定した。
判決によると、女性は2011年から東京都板橋区内の作業所に就労。遅くとも15年6月ごろから19年まで、元施設長からほぼ毎日、服の上から下半身を触られた。直接触られたこともあった。
元施設長は「求められて触れたことはあった。性的意図はない」と主張したが、判決は、女性が性的行為の意味を正しく理解できておらず、元施設長もそのことを認識していたとし、一連の行為は違法だと指摘した。
また、NPO法人は、事案の改善報告書を作成し、女性の実名を載せた上で、法人の会員に送付しており、判決は「女性のプライバシーが侵害された」と認定。150万円とは別に、30万円を支払うようNPO法人に命じた。
NPO法人は「主張が認められず非常に残念。今後の対応を検討したい」とのコメントを出した。
女性の代理人弁護士は「判決は(障害者が性的な被害に遭いやすいという事情について)丁寧に認定してくれた」と評価した。【菅野蘭】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。