知床半島沖で乗員乗客全26人が死亡・行方不明となった観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」沈没事故の慰霊のため、8月中旬に知床岬付近の海岸を訪れた地元住民のグループが、乗客の所持品の可能性があるデジタルカメラを発見した。遺失物として届け出を受けた道警が、データ復旧に向けて対応を検討している。
発見したのは、事故が発生した2022年4月以降、行方不明者の捜索ボランティアを続けてきた羅臼町の漁師、桜井憲二さん(61)ら4人のグループ。13日から3日間、遺体や遺留品が見つかった4カ所で焼香をしようと知床岬周辺を徒歩で訪れた。
14日午前11時過ぎに立ち寄った知床岬付近の小さな入江で、メンバーの一人が砂の上にあるカメラを発見。22年9月に豊田徳幸船長の遺体を見つけた場所とほぼ同じだったという。
桜井さんは「事故当時は砂に埋もれていたのだろう。多くのご遺体が見つかった入江なので、メンバーが『デジカメがある!』と言った時、真っ先に被害者のものだと思った」という。
カメラはシルバーで、キヤノンのIXYシリーズとみられる。現在、2組の乗客家族から「自分の家族のものかもしれない」と声が上がっているといい、桜井さんは「なんとかデータが復元され、持ち主が特定されてほしい」と話した。
中標津署によると、今後は道警本部などでデータ復旧に取り組み、技術的に難しい場合は外部委託する可能性もあるという。【後藤佳怜、伊藤遥】
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