今年5月、群馬県伊勢崎市の国道で事故が起き、2歳の男の子を含む3人が死亡しました。この事故をめぐり、ドライブレコーダーの映像から、逮捕された男が、運転直前に酒を飲んだとみられることが分かりました。
■3人死亡事故“悪質飲酒”か
事故で亡くなったのは、塚越湊斗くん(2)と、父親・寛人さん(26)、寛人さんの父親・正宏さん(53)。3人で車に乗っていたところ、対向車線からトラックに突っ込まれました。事故が奪ったのは3人の命、そして家族の未来です。
母親のSNSから
「苦しくなった時、吐き出させて下さい」
代理人弁護士を通し、紹介する許可を得たSNSには、湊斗くんの母親が事故後の心情を綴っています。
母親のSNSから
「あの日の電話。全員意識がありません。それを聞いた瞬間、震えが止まらなくなった。もうパニックだった。泣く事しか祈る事しか出来なかったママを許して。憎い。憎んだところで帰って来ない。もう2度と帰らない私の宝物」
■ドラレコにふらつく様子
この事故は、トラックのハンドルを握っていた男の飲酒運転が原因だった疑いが浮上しています。
事故を起こしたトラックのドライブレコーダー。見通しの良い直線道路を走っていますが、交差点が近付くと雰囲気が一変。突然、ふらつき中央分離帯を乗り越えていきます。
この時、何が起きていたのか、車内カメラに映っていたのは、運転手・鈴木吾郎容疑者(69)の異常な挙動でした。交差点に近づくとなぜか、運転手は右折専用レーンにいる車の方に一瞬ハンドルを切り、そして、すぐに左に戻します。また、その車を目で追い、意味不明の言葉も発していました。
鈴木容疑者
「うぇーい」
そして視線を前方に戻した瞬間に起きたのが今回の事故。この時、制限速度を約30キロ超えた時速90キロ程度で走っていたとみられています。猛スピードで中央分離帯を乗り越えてきたトラックの目の前にいたのが、湊斗くんたち3人が乗っていた車。ゴールデンウィーク最終日、埼玉県のレジャー施設から前橋市の自宅に帰宅する途中でした。
母親のSNSから
「すぐにたくさんの管に繋がれた子供を管が外されていき、私の腕の中で心臓が止まって眠りについてしまった時の私の気持ちを誰が理解できるというのか。私はあの日を一生忘れられないし、これからも思い出さなくてはいけない」
■呼気検査の後に飲酒の可能性
鈴木容疑者は前橋市の運送会社に勤務するベテランのトラック運転手でした。会社の関係者によると、義務付けられている乗車前の呼気検査では、この日アルコールは検出されなかったといいます。
しかし一転して、事故直後の警察による検査では、基準値以上のアルコールが検出されました。車内カメラにはコンビニ店などに立ち寄ったり、車内で飲酒している映像もなかったことから、会社での呼気検査を済ませた後、トラックに乗車するまでの間に飲酒をしていた可能性が高いといいます。トラックの中からは、220ミリリットルの焼酎の空き瓶2本が見つかりました。
警察によると、鈴木容疑者は「事故を起こしたことは間違いありません、ただ、詳しくは覚えていません」と一部、容疑を否認しているといいます。
母親のSNSから
「奪った命がどれだけ重かったか、どれだけ愛されていたか思い知れば良い。記憶が無いなんて許されるはずがない。奪われた人達の命が忘れられて良いわけがない。周りの人達の心まで殺した事を自覚して欲しい」
あの日も、いつものように家族の帰りを待っていました。思い出されるのは、事故が起きる直前まで変わらずに流れていた日常です。
母親のSNSから
「あの日の朝のことをふと思い出してしまった。私の腕をギュッと抱きしめてママ、ママ、だいちゅきと言った後、元気にさんぽを歌い出して、パパがその歌声で起きて。なんて幸せな朝だったんだろう。なんて美しい日だったんだろう」
事故が起きた時、湊斗くんの母親のお腹の中には赤ちゃんがいました。本人のSNSによると、その後、無事に出産されたということです。ただ、出産された後も、家族を奪われた苦しみを吐き出す言葉は投稿され続けています。
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