那覇市の米軍那覇港湾施設(那覇軍港、約56ヘクタール)の沖縄県内への移設計画で、防衛省沖縄防衛局は23日、移設先の浦添市沿岸部で海底の地質を調べるボーリング調査に着手した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設計画に続き、沖縄のサンゴ礁の海を埋め立てる政府の計画が実現に向けて進む。
県によると、23日朝、沖縄防衛局から調査に着手すると連絡があった。浦添市沿岸部の沖合では同日昼ごろ、複数の船が繰り出し、クレーンで掘削用の筒を海に投入する様子などが見られた。
調査に先立ち、防衛局は7月23日、掘削に伴う岩礁破砕の協議書を県に、占有許可申請を県と那覇市、浦添市の3自治体で構成する那覇港管理組合にそれぞれ提出し、今月21日までに了承を得た。玉城デニー知事は23日の定例記者会見で「ボーリング調査に着手することは、特に不明な点や疑義がなければ認めることになっている」と述べた。
一方、防衛局は環境アセスメント(影響評価)の手続きも進め、7月10日に第1段階となる「配慮書」を公開。周囲の生態系や景観などに工事が与える影響について「環境保全措置などを検討することで、重大な影響は回避、低減できる可能性が高い」とした。これに対し、県は23日、知事意見を提出。「海藻草類やサンゴ類が消失するなど海域生物や海域生態系が大きな影響を受ける」として、埋め立て地の具体的用途に加え、位置や面積の検討経緯や算定根拠など22項目について明記を求めた。
日米両政府は1974年、移設を条件に那覇軍港の返還に合意し、95年に移設先を浦添市沿岸部に決定した。防衛省の計画では、沿岸部を「丁字形」に埋め立てて約49ヘクタールの軍港を造り、事務所や倉庫など17施設を整備する。長さが3・9キロと0・5キロの二つの防波堤も造る。県や浦添市は計画を容認するが、県議会の与党会派や住民の中には反対する声もある。【比嘉洋】
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