「○○さんと連絡が取れない。自宅で倒れているかも……」。兵庫県尼崎市内でこうした「室内閉じ込め救助」の119番が急増している。市消防局によると、2023年は512件で過去最多を更新。救助活動全体の7割近くを占めた。一方で、通報の4割近くが「就寝中」や「不在・留守」の誤報だった。
室内閉じ込め救助の通報は全国的にも増加傾向という。市消防局は通報が入ると、救助工作車や救急車など3台で現場に向かう。室内にいるとみられる人と連絡がつかない場合は窓ガラスを割るなどして救助に入る。23年は180人を病院に搬送した。救助対象者の多くは高齢者で、独居世帯の増加などが背景にあるとみている。死亡していたのは107人だった。
こうした救助活動の増加を受けて、市消防局は17年から室内閉じ込め救助について独自に統計を開始。21年までは300件台だったが、22年には437件となり、23年に初めて500件を突破した。
一方、23年の誤報はこのうち185件。18年は47件で約4倍に増えた。救助対象者が「家で寝ていた」(66件)、「不在・留守」(51件)、「電話・訪問に気付かない」(33件)などが原因だった。
市消防局は「人命に関わるため、救助の119番は重要。手すりの設置や滑り止め対策をして自宅での転倒転落事故を防止し、誤報がなくなるよう長期間自宅を不在にする場合は、周囲の人に伝えておいてほしい」と呼びかけている。【稲垣淳】
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