公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 「カップヌードル」などの店頭販売価格を引き上げるよう小売業者に要求したのは独占禁止法違反(再販売価格の拘束)の恐れがあるとして、公正取引委員会は22日、大手即席麺メーカー「日清食品」(大阪市)に対し文書で警告した。

 公取委は審査の過程で、類似行為が食品メーカーと小売業者の間で広がりつつあることを確認。「業界に速やかに警鐘を鳴らす意味も込めて、警告という措置を選んだ」としている。

 公取委によると、日清は2022~23年、「カップヌードル」や「日清のどん兵衛きつねうどん」「日清焼そばU.F.O.」といった主力商品の希望小売価格を値上げしたのに合わせ、スーパーやドラッグストアなど小売業者に対し、店頭販売価格を引き上げるよう要求した。

 営業担当は要求する販売価格について一定の裁量を与えられており、安売り傾向のある店舗には他の店舗よりも低い価格を提示するなどし、値上げに応じるよう説得していたという。

 独禁法は、小売業者に自由な販売価格を決めさせない行為を「再販売価格の拘束」として禁じている。公取委近畿中国四国事務所の山本大輔審査統括官は「排除措置命令を科さなかったのは、日清の行為が全国的なもので裏付けに時間がかかることを考慮したため。食品の値上がり傾向が続いており、早期に警告を出すことで一罰百戒とする判断をした。事実認定が不足しているわけではない」と説明した。【渡辺暢】

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