逆走による事故が相次いでいます。高速道路では2日1回に起きている逆走。もし遭遇した場合、どのように対処すればいいのでしょうか。


■高速出口で…「ノーブレーキで」

鹿児島県では16日、高速道路を降りた車が交差点に進入しかかったその時、逆走してきた軽自動車と衝突しました。

運転していた女性
「すごいスピード。ノーブレーキでした相手は。一瞬だったと思うが、私のなかでは時が止まったように感じて」

場所は九州自動車道の鹿児島インターチェンジ。2つの自動車専用道路など複数の道路が交わる、複雑な構造になっています。逆走した軽自動車は、交差点を右折して国道に向かおうとしたところ、誤って進入したということです。運転していたのは80代の男性でした。

運転していた女性
「相手方は5分10分ぐらい車の中から出てこず、第一声が『やっと出てこられた』。耳にしたのが『私は逆走していない』という言葉だったので、認識していなかったんだと思う」

乗用車には運転していた女性のほか、娘と弟の合わせて3人が乗っていました。命に別状はありませんが、体に痛みなどが残っているといいます。

東北自動車では15日、乗用車が逆走した軽ワゴンと正面衝突し、2人が死亡。事故直前に路肩からUターンする様子が捉えられていました。東北道では16日にも、大型バイクが81歳の男性が運転する逆走車と衝突。2日連続で事故が起きています。

国土交通省によると、高速道路での逆走件数は去年1年間で224件。実に「2日に1回以上」のペースで起きています。高速道路の出口から進入するケースや、一般道と勘違いして料金所の手前で引き返すケース、目的地を通り過ぎてUターンするケースなどです。鹿児島での事故のように「逆走していることを認識していない」運転手も多くいるのが実状です。


■逆走防ぐ取り組み

これまでも国土交通省は、逆走を気付かせるための様々な取り組みを行っていました。立体的に見えるよう描かれた標示で逆走車に注意を促すもの、衝撃で逆走を気づかせるための段差などです。

栃木県内のパーキングエリアに設置されているのは、進行方向とは反対向きに設置された表示板。センサーが逆走を検知すると、運転手に警告する仕組みです。こうした取り組みを全国364カ所で実施。対策前と比べて逆走の発生が8割以上減りました。

さらに進んだ対策も。高速道路に1万5000台以上設置されている保安用の監視カメラの活用です。AIによる画像処理技術で逆走車を検知し、逆走している車のカーナビなどに「逆走しています」と警告するほか、周囲を走っている車にも注意喚起します。この対策について、国土交通省は今年度中に事業者を公募し、早期実用化を目指すとしています。

NEXCO東日本関東支社交通技術課 今井大樹課長代理
「うっかり標識を見落として逆走する人。若年層でも逆走する人がいる。逆走車両を早期に発見することで、お客様に早く伝えることができる。これからも早期検知に努めていきたい」


■逆走車に遭遇したら…

相次ぐ高速道路での逆走ですが、事故に遭わないためにはどうしたら良いのでしょうか。交通事故に詳しい、交通事故鑑定人・熊谷宗徳さんに聞きました。

熊谷宗徳さん
「逆走車は追い越し車線を走ってくるケースが多いので、逆走車を避ける場合は、道路の右側ではなく左側に避けたほうが良い。自分の車も、逆走車も時速100キロで走っていると、わずか2秒の間に約100メートル近付く。事故が起きるとしたら、まさに一瞬の出来事なので、普段から車間距離を100メートル以上空けて、逆走車が突然現れた時に対応する時間を確保するべき」

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