今年発表された調査で、夫婦の64%が「セックスレス」との結果が判明した(出典:【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024)。そんな状況下で考えたいのが、結婚における性行為。「愛情があるなら、夫婦の性交渉は当たり前」と考える人もいるが、そうでない夫婦もいる。
【映像】結婚6年目も性交渉せず 取材した30代女性の夫婦生活歴
結婚してもできない・しない形がある中で、そもそも「結婚に性交渉は必要不可欠なのか?」。『ABEMA Prime』では、当事者を交えて考えた。
■結婚6年目も性交渉なし「私は普通じゃないのかな?って」
「夫婦間で一度もセックスをしたことがない」と語るのは、結婚6年目のクリオネさん(30代女性)。交際中から一度もパートナーと性行為をしたことがないが、拒否していたわけではないという。「結婚後も何回かチャレンジしたが、その度にできない経験が積み重なり、『私、普通じゃないのかな?』と思ってしまった。“当たり前に夫婦は性行為できるはず”との考えがある中で、誰にも言えず悩んでいた」と明かす。
できない理由はわかっていないものの、「いろんなものを積み重ねた結果だと思うが、知識と経験不足が大きいと思う。避妊具にサイズや種類があることも、扱い方も知らなかった。調べた当時は正しい・質の高い情報に出会えず、『自分たちにはちょっと違う』と感じた」という。
貞操観念は「わりと高いほう」だったとも振り返る。「できないことを重大だとは思わず、結婚したらそのうちできるだろうと大きく構えていた。むしろ『なんてちゃんとした人なんだろう』『すごく良い人だな』と惹かれたポイントでもあり、結婚を決めた」。
一方、「性交渉ナシでよかった」と感じる点として、“するのが当然・義務”の罪悪感から解放されることや、性交渉以外の愛情表現を大切にするようになり、日々の会話など2人の時間が充実することなどを挙げる。また、「無理をしない、ありのままの自分たちを生きられる」「子どもをつくるかつくらないか真剣に考えられる」こともあるということだ。
■“友情結婚”とは?「恋愛感情がないほうがうまくいく」
性行為ができない、ではなく「したくない」人もいる。彼らに向けた新たな結婚の形が“友情結婚”だ。友情結婚専門の相談所「カラーズ」の中村光沙(なかむら・ありさ)氏は、「性行為がない、もしくはしたくない男女が結婚する形だ」と説明。
はじめから“性行為なし”が前提で、恋愛感情も結婚相手にほとんどないという。「『ドライな結婚だ』と言う人も多いが、家庭を築きたい人となれば信頼関係も尊敬もある。私は逆に恋愛感情がないほうがうまくいくと思っている」。
カラーズでは、「性行為をできない・したくない、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)」を対象にしている。「異性に性愛感情を持つ可能性がある人は、そもそも入会できない。可能性がある人が入会すれば、一般の結婚相談所と変わらなくなるからだ。女性で多いのが『アセクシュアル』で、当たり前に性交渉するものだと思い、頑張って男性と恋愛しようとするが、性的な部分が見えてくると相手を嫌いになってしまう。『友情結婚の選択肢があってよかった』となる相談者は多い」。
友情結婚の希望者も、性行為をしたくない点は共通していながら、理由はそれぞれだ。「パートナーや家族、子どもが欲しい」「人生を共に過ごす人が欲しい」「親のプレッシャーや安心のため」「世間体やキャリアのため」「一人でいることが虚しく寂しくなってきたため」などがある。
友情結婚の決め手はどこにあるのか。中村氏は「共通しているのは『一緒にいて楽』。その他は人それぞれだが、子どもが欲しい人の場合、いい親になれるか、子どもを幸せに育てられるかといった目線で相手を探す。わざわざ婚活する人は、子どもが欲しいことが圧倒的に多い。男性だと全体の9割程度にのぼる」とする。
持論である「恋愛感情がない方がうまくいく」の詳細も語った。「恋愛中は相手を冷静に見られない。心理学では『恋愛感情は3年でなくなる』と言われていて、離婚する夫婦も3年以内が一番多い。恋愛感情がなくなり、“人としてどうか”“一緒に家族を築けるか”を冷静に判断した時、価値観の違いが見えてくる。友情結婚の場合は、夫婦での家族愛や、親友のような友情関係など、愛情は人それぞれ。恋愛感情がなくても家庭を築いている」。
■たかまつなな「性感染症に関する教育が多く、“汚いもの”という考えがあった」
時事YouTuberのたかまつななは、「通っている女子校でも性教育があったが、性感染症に関する題材が多く、性に対して“汚いもの”という誤解があった」と振り返る。「『結婚するまで、そういうことしたくない』と考えたが、付き合った相手が『したい』という時に、どうしようかと考えた。やり方がわからず、『私がいけないのか』と責めたりした」。
避妊具の使い方についても同様だ。「コンドームの使い方は出てきても、いつ付けるかがわからない。キスした後なのか、ベッドに入ってからなのか」。これらの経験を踏まえて、「海外では人権教育から始まり、『人を愛することは素晴らしい』というところから入る。自分たちも最初から、そういう事を教えて欲しかった」と性教育の重要性を語る。
フリーアナウンサーの柴田阿弥も、「私も女子校だったが、『性行為をすると、すぐ妊娠する』と思っていた。性教育も十分でないのに、性的コンテンツに触れるとちぐはぐな知識になってしまい、それが正しいと思ってしまう。一方で、リスクが高く危険なものといったイメージが付くと、怖いなと思ってしまう」と述べた。
クリオネさんはたかまつの意見に賛同し、「人権ベースに学びたかった」と話す。「相手の体は相手だけ、自分の体は自分だけのもので、互いの思うとおりにはならない。そうした価値観がベースにないと、私のように『夫と性行為できない』と悩んでしまう」。
周囲からの「夫婦は性交渉しているはず」という価値観を直接ぶつけられたことがショックだったという。「性交渉の優先順位が高くなく、“自分たちなりの夫婦の形”を作りたい。夫にその考えを伝えても、ケンカにはならない。定期的な話し合いを大事にしている」とした。(『ABEMA Prime』より)
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