核兵器禁止条約への日本政府の参加を実現させるため、世論の喚起や国会議員らへの働きかけに取り組む一般社団法人「核兵器をなくす日本キャンペーン」が発足し、20日に東京都内で記念シンポジウムがあった。2030年までの条約批准を政府に求めていく。
核兵器廃絶の活動をしてきたNGOや、被爆者団体でつくる「核兵器廃絶日本NGO連絡会」が母体となって、クラウドファンディングで約1000万円の資金を集めて、今月法人を設立した。
核兵器の開発、製造、使用などを全面的に禁じた核兵器禁止条約は17年に成立し、21年に発効した。だが、「唯一の戦争被爆国」の日本政府は不参加で、NGO関係者らが「新たな推進力となるネットワーク型の運動が必要」と新たな法人の設立を準備してきた。
代表理事を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)代表委員の田中熙巳(てるみ)さん、専務理事をNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」国際運営委員の川崎哲(あきら)さんが務める。広島と長崎には、若い世代のコーディネーターを置く。
20日のシンポにはキャンペーンの主なメンバーが登壇。超党派の国会議員に呼びかける討論会や学術経験者を交えた意見交換会の開催、市民サポーターへの協力呼びかけなど、活動案が示された。
目標達成への第1段階として、25年に米ニューヨークで開かれる予定の条約の第3回締約国会議に、日本政府がオブザーバー参加することを目指す。それに合わせて国内で国際シンポを開催する。
川崎さんは「核兵器は人類への危機。これまで核廃絶運動を担ってきた人たちだけでなく、若い人たちが『自分たちの世代の問題』と受け止めて参加してもらえるような『超世代』のキャンペーンを意識したい」と話している。【宇城昇】
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