松山市で出土したタヌキとみられる足跡が付いた土器=同市考古館で2024年8月8日午後2時31分、広瀬晃子撮影
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 古代の人も可愛いものが好きだった? 松山市で発掘されたタヌキとみられる足跡の付いた土器が、SNS(ネット交流サービス)などで話題になっている。現在、同市考古館で初公開中で、同館の担当者は「故意に付けたか、たまたま付いたのかは謎。いろいろ想像して楽しんでほしい」と話す。

 同館によると、土器は「須恵器」(直径約13センチ、深さ約3センチ)で、国指定史跡「久米官衙遺跡群」(同市)の市の発掘調査で2003年に出土。約1300年前の飛鳥時代に、祭祀(さいし)で供え物を入れるなどして使われたとされる。足跡に気付いたのは23年12月。中心部付近に重なるように二つあり、爪痕も残っていた。

 同館の依頼で調査した愛媛県立とべ動物園(砥部町)、高知県越知町立横倉山自然の森博物館によると、二つの足跡は前脚と後脚。肉球の大きさや指の長さなどから、タヌキの可能性が高いと判断した。

タヌキとみられる二つの足跡が付いた土器。周囲には爪痕も残っている(松山市考古館提供)
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 ネコの足跡付きの土器を展示している兵庫県立考古博物館の菱田哲郎館長によると、「タヌキの足跡はあまり聞いたことがない」とし、「製作中の土器をたまたま踏んでしまったとは考えにくい。失敗作として捨てるのでなく、完成品にしているので、まじないのような目的があったのではないか」と分析する。

 土器は、松山市考古館で開催中の「掘ったぞな松山 2024」で公開中(9月16日まで、入場無料)。同館がX(ツイッター)で土器の写真を掲載した途端、「かわいい」などと反響があったという。

 鑑賞した徳島文理大4年の高須賀友香さん(22)は「すごく愛らしい。今の時代に販売していたら買いたい」と目を細めた。問い合わせは同館(089・923・8777)。【広瀬晃子】

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