テレビやラジオに落ち着いた声とともに流れてくる「道路交通情報」。その舞台裏は。普段は見られない「道路交通情報」が伝えられるまでに密着しました。

 訪れたのは、「道路交通情報」の収集や発信を行う日本道路交通情報センター。

 そして、今回密着したのは、採用8年目でキャスターを務めている桑原萌子さんです。

 一日に1人が担当する放送はおおよそ10本。

 桑原さんがこの日担当する最初の放送は午前6時55分からの「NHKテレビ」です。

桑原萌子さん
「一般道路で茨城県内の事故などの情報はありませんでしょうか」

 放送尺はおよそ45秒。

 限られた尺のなかで視聴者が必要とする情報を取捨選択。手書きで原稿を作成します。

桑原萌子さん
「選び方は事故などの障害の情報から取っていくですとか、長い渋滞の情報を取るというところから始めています。箇条書きの原稿でして、メモ書きで情報の変更に対応できるように簡単に書いてます」

 しかし、放送まであと15分と迫ったところで…。

桑原萌子さん
「事故が入りました。圏央道ですね。紫の点が点滅している所。こういう場合は取材して、『事故ですか』ということを確認」

 他のスタッフとも協力して取材を行い、原稿を更新していきます。

 でき上がった原稿の内容も共有し、いざスタジオへ。無人カメラが設置されたスタジオにはキャスターのみ。尺管理やNHKとの音声確認もすべて1人で行います。

 さらに。

桑原萌子さん
「中央道上りは三鷹付近先頭14キロ。ぎりぎり情報の変更で入りました(放送まで残り5分)」

 本番では見事な落ち着きで、尺通り正確に情報を伝えました。

 ただ、一息ついている暇はありません。すぐあとに今度は「NHKラジオ」が控えています。尺は1分半、テレビよりも長く伝えなくてはいけません。

桑原萌子さん
「(Q.準備時間かなり限られている?)次は午前7時25分の放送。20分にはスタンバイ。あと15分、急いで(情報を)取ります」

 原稿も新しく一からの作成です。時間との戦いは続きます。

桑原萌子さん
「圏央道の内回りの日の出インターの工事だけもって入ります」

 ブースに入っても、入念に下読みを行い、放送に備えます。

桑原萌子さん
「緊張しました」
「(Q.ラジオだとまたちょっと違いますね)違いますね。ラジオは尺もテレビよりは長いので、所要時間の情報や迂回(うかい)路、並行する路線の情報を入れたりとかができるので、丁寧に文章を組み立てることを意識してます」

 ラジオもテレビと同じく、本番は自分1人。放送後には言い間違えがないかなど録音を確認する場面もありました。

 8年目で後輩を指導する立場にもなった桑原さん。お盆などの繁忙期や、大雪や台風などの災害時といった忙しい時期が続くとある夢を見るといいます。

桑原萌子さん
「放送できない夢を見る。例えば原稿用紙が白紙だった、情報を取っていたのに何も見えない白紙になってた、放送ブースがすごく遠い所にある、当センターのシステムが全然動かない」

 本当に必要とされる情報を“届けたい”とこの仕事に就いて、年間2000本の発信を行う桑原さん。

 大変な局面を乗り切るモチベーションは視聴者やリスナーからの声なんだそうです。

桑原萌子さん
「『ありがとう』という声を頂いた時に、『この仕事をやってて良かったな』というふうに思いました」

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