逮捕された浅沼雄太容疑者が整形外科副部長を務める東京労災病院=東京都大田区大森南4で2024年4月19日午後3時4分、森田采花撮影

 独立行政法人労働者健康安全機構が運営する東京労災病院(東京都大田区)の医療機器選定を巡る汚職事件で、収賄容疑で逮捕された医師が、同僚の医師にも贈賄側の医療機器メーカーの製品を使うよう勧めていたことが、捜査関係者への取材で判明した。製品を使えば、メーカーから現金に換算できるポイントが付与される仕組みで、同僚が使った製品に対するポイントも逮捕された医師が得ていたという。

 警視庁捜査2課に収賄容疑で逮捕されたのは、東京労災病院整形外科副部長で医師の浅沼雄太容疑者(41)。医療機器メーカー「HOYAテクノサージカル」(東京都新宿区)社製の金属製インプラントを多く使用するよう便宜を図った見返りに、2022年1~4月ごろ、テクノ社側から現金計約50万円を受け取った疑いがある。

 テクノ社の前営業部長、小野田大(46)と営業部社員、加藤高彰(39)の両容疑者も、現金を渡した贈賄容疑で逮捕された。

 捜査関係者によると、浅沼容疑者は21年4月に副部長に就任。自身が執刀する外科手術だけではなく、同僚の医師が担当する手術でも、体内に人工骨として埋め込むテクノ社製のインプラントを使うよう働きかけていたという。警視庁は、ほかの医師に影響力がある副部長の立場を浅沼容疑者が利用していたとみている。

 手術でテクノ社製の人工骨が使われると、種類に応じて1本につき0・5~1ポイントが浅沼容疑者に付与される仕組みだったという。1ポイント当たり1万円で換金され、浅沼容疑者は高級店で支払った飲食代などの領収書を、小野田容疑者の部下だった加藤容疑者に買い取らせ、現金を受け取っていたとみられる。

 ポイント制は小野田、加藤両容疑者が持ちかけたとされ、浅沼容疑者から買い取った領収書は、社内で交際費として経費処理していたという。

 警視庁は、浅沼容疑者が受け取ったとされる約50万円以外にも、現金の授受があったとみて調べている。【遠藤龍、森田采花】

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