大阪市内に個性的なホテルが相次いで開業している。露天風呂がギネス世界記録に認定されたり、鉄道から発想したアートで館内を彩ったりしている。2025年大阪・関西万博を前に宿泊需要の受け皿づくりが進む。
「泊まって調べたホテルは3000を超えた。自分で客室の長さをメジャーで測って、こんなバカなことをする社長はいない」
国内でホテルチェーンを展開するカンデオ・ホスピタリティ・マネジメントの穂積(ほづみ)輝明会長兼社長は笑いながら話す。05年に会社を設立して以来、国内外のホテルに宿泊して客室の構造を調べ、自社に生かしている。
7月には、チェーン最大規模となる「カンデオホテルズ大阪ザ・タワー」(548室)を北区堂島浜に開業した。地上約130メートルの最上階には、水面が周囲と一体化するように見える「インフィニティ露天風呂」を配置。その高さでギネス世界記録に認定された。
カンデオホテルズは「世界で唯一の四つ星ホテル」をコンセプトに掲げ、国内28カ所に展開している。平均客室単価は3万~5万円。天井を高くしたり家具の配置を工夫したりして、実際の客室面積よりも広く感じられるようにしているという。
穂積氏は「四つ星ホテルは高級でもなく、安くもない価格帯だ。市場は大きくないが、他社にはない発想で利益を出せている」と話す。
北区梅田では7月31日、「マリオット」ブランドの高級ホテル「大阪ステーションホテル、オートグラフコレクション」(418室)が開業した。JR大阪駅西側のJPタワー大阪にあり、豪華列車の食堂車をイメージしたレストランを整備。列車ダイヤをモチーフにしたアートを壁面に飾るなど、鉄道マニアでなくても心躍る場所になっている。客室は1泊9万円から。
ホテルを運営するジェイアール西日本ホテル開発の担当者は「150年前に初代大阪駅があった地にホテルを開業できたことは感無量だ。今回は初めてマリオットと組み、ラグジュアリーのノウハウを勉強した。新たなホテル文化を発信したい」と意気込む。
8月1日には、カナダの高級ホテル「フォーシーズンズホテル大阪」(175室)が北区堂島に開業した。スイートルームは1泊150万円以上で、富裕層の取り込みを図る。
「モダン旅館」を表現した畳敷きの客室をそろえた特別フロアを用意。担当者は「プールやジムなどラグジュアリーホテルならではの施設とともに、和室という日本文化を味わってほしい」とアピールする。【小坂剛志】
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