東京都大田区にある区立小学校のPTAの会計担当者などを務めていた女性が、令和5年度までの4年間で、計約600万円を無断で口座から引き出していた疑いがあることが19日、分かった。PTA側は18日に小学校で臨時総会を開き、保護者に対し一連の経緯を説明。今後、弁護士に相談し、警察に被害届を出す方針といい、民事告訴も視野に入れている。
PTAによると今年1月ごろ、年度末の収支をまとめる際にPTA会費の口座を確認したところ、数十回にわたり計約600万円が、正当な理由なく引き落とされていたことが発覚。
当時、口座の通帳やキャッシュカードは令和2~4年度までの会計担当者で、5年度は副会長だった女性が1人で管理しており、5年度の会計担当者がこの女性から通帳の引き渡しを受け、確認したという。
PTA側が、引き落とされた約600万円の使途について女性に対面や電話で複数回説明を求めたところ、女性は引き出したことを認めた上で「家に置いていたが紛失した」などと説明。今年3月ごろからは連絡が取れていないという。
この学校のPTA会費は年額1人4400円で、児童が複数いる家庭は2人目以降、600円が加算される。現在の会員数は約350で、通学する児童がいるほとんどの家庭が会員という。新型コロナウイルス禍で2年度は会費徴収を行わず、3年度から再開。ただ、地域行事などで支出する金額自体は少なかったという。
PTA側は今後、口座の管理など含めて会計監査を見直すなど、対策をとるとしている。
繰り返されるPTAの横領
本来、児童や生徒の教育環境を整えるために保護者から集めているPTA会費だが、横領や不正支出は後を絶たない。会計を担当する保護者や学校職員だけでなく、過去には校長や教頭が着服していたケースもあった。PTAは任意団体であり、会計を1人が担当していたり監査をしていなかったりと、チェック機能が十分に働いていない状況が背景にある。
令和2年には、私立幼稚園の環境改善などのために活動している全日本私立幼稚園連合会(東京)の内部調査で多額の使途不明金が発生していることが判明。平成29年~令和2年に連合会と関連団体「全日本私立幼稚園PTA連合会」で総額約6億8千万円が不正に出金され、元事務局長が愛人女性との交際費に充てるなどしていた。警視庁が元事務局長を立件した。
令和3年には、広島市西区の市立小、中2校のPTAでそれぞれ会計担当を担う女性が、前年度分の会費や積立金計約1050万円を横領していたことが発覚。女性が小学校のPTA会長に対し「生活苦のため、生活費の一部として全額を使った」と打ち明けた。
宮城県石巻市では、平成18~20年、市立中学校の男性校長が生徒の修学旅行の積立金やPTA会費など計約1100万円を着服。「定期預金に繰り入れる」との名目で通帳を預かり、十数回にわたり積立金を引き出すなどしていた。
大阪でも27~28年、市立中学校の男性教頭が、住宅ローンの返済などのためにPTA会費約330万円を着服。会費を管理している2つの銀行口座から引き出していた。(梶原龍)
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