記者会見で映画への思いを語るキャノン・ハーシーさん(左)と近藤紘子さん=広島市役所で2024年8月1日午後2時22分、井村陸撮影

 被爆者の証言を通じて広島の原爆被害の実態を世界に発信したルポ「ヒロシマ」で知られる米国の記者でピュリツァー賞作家のジョン・ハーシー氏(1914~93年)と取材に協力した谷本清牧師(09~86年)の交流を描いた映画「WHAT DIVIDES US」の製作が決まった。孫のキャノン・ハーシーさん(47)らが1日、広島市役所で発表した。

 ハーシー氏は46年、広島に入り、厳しい情報統制の中、被爆者6人の証言からルポを書いた。雑誌「ニューヨーカー」に掲載され反響を呼んだ。

 米国のエール大学図書館で見つかった谷本氏からハーシー氏への手紙や日記などを基に、両者の友情や被爆の実相を暴こうとする過程を再現する。映画には、原爆を投下した米爆撃機「エノラ・ゲイ」の搭乗員の視点も含まれる。米国と日本で2025年から撮影する。公開時期は未定。

 記者会見したキャノンさんは「2人の覚悟を通して、現代を生きる人たちにも自分の役割や責任について考えてもらいたい」と話した。谷本氏の娘で「ヒロシマ」に登場する近藤紘子さん(79)は「映画を見た一人一人の心から核廃絶や平和の思いが湧き出るように願っている」と語った。【武市智菜実、井村陸】

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