東京地裁および東京高裁が入る庁舎=東京都千代田区で

 私立大学の支援事業で便宜を図ってもらう見返りに文部科学省元局長の次男を東京医科大に不正に合格させたとして、贈賄罪に問われた同大の前理事長、臼井正彦被告(83)ら3人の控訴審判決で東京高裁は19日、いずれも執行猶予付きの有罪とした1審・東京地裁判決(2022年7月)を支持し、無罪を主張する被告側の控訴を棄却した。斉藤啓昭裁判長は「前理事長らと元局長は、不正合格を共通に認識していた」と述べた。

 他の2人は、贈賄罪に問われた前学長の鈴木衛(74)▽受託収賄ほう助罪などに問われた元医療コンサルティング会社役員の谷口浩司(53)――の両被告。事件では、元局長の佐野太被告(64)も受託収賄罪に問われ、1審で有罪とされて控訴しており、後日判決が言い渡される。

 判決によると、前理事長は17年5月、元局長に会食の場で支援事業に同大が選定されるよう依頼。同6月に谷口元役員を介して同大の事業計画について元局長から助言を受けた。前理事長と前学長は18年2月、謝礼として元局長の次男の試験結果に10点を加え、補欠から正規合格に格上げした。【井口慎太郎】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。