24日からの大雨に伴う水害に襲われた秋田、山形両県の被災地では、一部で深刻な断水に直面している。2次災害の恐れから容易に近づけない場所もあり、住民らは今後の大雨予報に警戒を強めている。
「近年の流量は想定を超えている」
秋田県によると、29日朝の時点で由利本荘市、にかほ市、横手市、上小阿仁村の計4市村の計約140戸で断水している。このうち最も多いのが上小阿仁村(計126戸)で、多くが山間地に位置しており、復旧のめどは立っていない。村は各地に仮設トイレを設置し、給水タンクを積んだ車が巡回しており、当面は村中心部の交流施設「コアニティー」のシャワーを開放するという。
村内の五反沢地区では29日も、五反沢川の氾濫で道路や田んぼに流木が残った状態。再度の大雨で川が増水していた。地区の温泉施設「山ふじ温泉」は源泉が大雨の泥で埋まってしまい休業を余儀なくされている。
地元の田んぼで稲を育ててきた田中啓子さん(78)は「電気やガスは無事だったが、洗濯と風呂がしばらく大変」と語り「今年が一番の雨だったが、このあたりの川の増水は3年立て続けに起きている。田んぼの状態が心配で、今後続けられるかどうか」と案じていた。
村では工事業者が復旧作業を始めているが、取水場から水を運ぶ管が破損するなどし、川の流れが収まるまでは実態把握も難しい状態だ。村の担当者は「本復旧まで数カ月かかる可能性もある。近年の流量は想定を超えている」と話す。【工藤哲】
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