秋田、山形両県で降り続いた雨は一時小康状態となったが、27日午後から再び強まり、両県などは引き続き厳重な警戒を呼びかけている。水が引いた地域に足を運ぶと、大量の泥が道路を覆い、住民は蒸し暑さに耐えながら、家財などの片付けに追われていた。
秋田県内では県南部の由利本荘市周辺だけでなく、北秋田市や上小阿仁(かみこあに)村といった山間地の住宅でも大きな被害を受けた。
北秋田市の秋田内陸縦貫鉄道の拠点駅・阿仁合駅の近くを流れる阿仁川も大きく増水し、27日も幅数百メートルに及ぶ茶色い濁流が流れていた。
同市阿仁水無の集落の一角では、二棟の家屋の床下が大きく崩れ落ち、コンクリートの破片が下に散乱していた。この地域にあるトンネル付近でも土砂崩れが起きており、雨によって地盤が緩み、傾斜も多く周囲の土砂が一気に崩れ落ちたとみられる。
付近の住宅で泥を取り除く作業をしていた一人暮らしという80歳の女性は「こんな激しい雨はこれまで経験したことがない。雨の降り始めに避難して、今日戻って来たら自宅が泥だらけになっていた。今日から家族に来てもらって作業を手伝ってもらっている」と話した。
ここから北西に約10キロ離れた上小阿仁村の五反沢地区でも、五反沢川の堤防が決壊し、田んぼ一帯に泥水が広がっていた。住民によると、この地域ではおととし、去年と連続して増水し、護岸の工事があったという。一帯には流木が散乱し、農道が通れなくなっていた。
橋の近くの家の泥を洗い出す作業をしていた地元の会社員、北林正史(まさし)さん(63)は「25日の夜に水が一気に増えて橋の上まで来たのであわてて逃げた。60年余りでこんなことは一度もなかった。まだ断水が続いており、今一番必要なのはとにかく水です」と語った。
上小阿仁村東部の仏社地区でも仏社川が増水。小さな橋が流されて落下し、近くの電柱やガードレールも傾いていた。村を南北に流れる小阿仁川の支流にあたる複数の川の流域で同時に大きな被害をもたらした形だ。
村の防災担当者は取材に、村内では5集落で断水が続いているとし「ここ2日は給水車で住民の水不足に対応している。村の主要道路の被害状況は把握できたが、奥の林道などの情報はまだ分かっていない状態」と説明した。【工藤哲】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。