今西貴大被告の保釈決定を受け、弁護人の川崎拓也弁護士(中央)は記者会見で「自由な時間を過ごせることに感動しています」と評価した=大阪市北区で2024年7月26日午後2時59分、土田暁彦撮影

 2歳だった養女への傷害致死などの罪に問われ、1審で懲役12年の判決を受けて控訴審が続いている今西貴大被告(35)が保釈されたことが、弁護人への取材で判明した。被告は無罪を主張しており、長期の実刑判決後の保釈は異例。約5年半にわたる勾留が解かれ、保釈条件で被告の逃亡を防ぐための「監督者」を選ぶ新制度が適用されたという。

 大阪高裁(石川恭司裁判長)は23日付の決定で、実母を監督者とした。同日付の保釈許可決定では、外出時の行動を把握できる全地球測位システム(GPS)端末の装着、指定された住居玄関でのカメラ撮影など14項目を条件とした。

 監督者制度は2023年成立の改正刑事訴訟法に盛り込まれ、24年5月に導入された。これまでの身元引受人と異なり、監督者は保釈保証金とは別に監督保証金を納め、被告を公判に出頭させる義務がある。

保釈許可決定を受け、勾留されていた大阪拘置所から出る今西貴大被告=大阪市都島区で2024年7月26日午後4時52分、高良駿輔撮影

 決定によると、今西被告の保釈保証金は計900万円で、実母の監督保証金は計300万円。いずれも納付され、26日夕方に保釈された。勾留は19年2月から続いていた。

 改正法は日産自動車会長だったカルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡した事件などを受け成立。裁判所が保釈を許可する際、海外逃亡の防止で必要があると判断した場合に限り、被告にGPS端末の装着を命令できる。公判への出頭や検察官への呼び出しに応じない場合の「不出頭罪」なども新設され、複数の制度で逃亡を防ぐ仕組みになっている。

 今西被告の保釈条件とされたGPS端末の装着は改正法に基づいた運用ではなく、弁護側が裁判所に提案していた。保釈請求が11回に上ったことから、主任弁護人の川崎拓也弁護士は「どうしても保釈を認めてもらいたかった」と説明。位置情報は弁護人が管理し、裁判所に毎月報告する。

 今西被告を巡っては、1審・大阪地裁判決(21年3月)が大阪市東淀川区の当時の自宅で、養女に暴行を加えて頭に大けがをさせて死なせたと認定。生前に足を骨折させたとされる傷害罪は無罪となった。

 控訴審判決は11月に言い渡される予定。被告は弁護人を通じて「うれしくて涙が出ました」とコメントした。【木島諒子】

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