兵庫県庁=井上元宏撮影

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑について告発された問題で、県は庁内にある通報窓口を外部の弁護士が受け付ける形に改める方針を示した。告発者で、窓口にも公益通報をした元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)を懲戒処分としたことは通報者保護の観点から疑問視されており、体制見直しを迫られた格好だ。

 元局長は3月、知事や県幹部について七つの疑惑を記した告発文を一部の県議や報道機関に送付。外部に告発した理由については「自浄作用が期待できない今の兵庫県では当局内部にある機関は信用できない」と説明していた。4月4日には、県庁内の公益通報窓口にも通報した。

 一方、文書を把握した斎藤知事は3月下旬、文書を「うそ八百」と非難。元局長を解任して定年退職を認めなかった。5月7日には、文書を「核心的な部分が事実ではなく、誹謗(ひぼう)中傷に当たる」と認定し、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。

 公益通報者保護法は、通報を理由に降格、減給、退職金の不支給など「不利益な取り扱いをしてはならない」と定めている。不正があると信じるに足りる相当な理由があるなどの場合、報道機関なども通報先として認めている。

 斎藤知事は7月24日の記者会見で、告発した3月時点で元局長を保護対象と捉えていたか問われると「文書が公益通報前に配布され、事実ではないことが多々含まれていたため、懲戒処分に該当する可能性があると判断した。対応は適切だった」と主張。一方で「客観性をより担保するため」との理由で、通報窓口を外部に移す考えを示した。

 7月19日にあった県議会の調査特別委員会(百条委)では、元局長が自ら命を絶ったとみられる経緯を踏まえて「告発文書がマスコミなどに送られた時点を公益通報と捉えるのであれば、通報者保護の観点からとんでもない状況だ」と県の対応を疑問視する指摘が出ていた。【山本康介、山田麻未】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。