漂流から20時間近くにも及んだ救出作業。乗客が撮影した映像には緊迫の一部始終が映っていました。

 乗客乗員121人を乗せて漂う船。24日、千葉県沖で故障した「セブンアイランド愛」です。東京・竹芝ターミナルを出発し、伊豆諸島の式根島へ向かう途中で、自力航行ができなくなりました。

 25日朝、22時間ぶりに船の外へ解放された乗客らが。

乗客
「途中なんかもう遭難みたいな感じになっちゃって、どこに向かっているかも分からず、死んでもおかしくないかなみたいな」

 船内での壮絶な体験を明かしました。

乗客
「音とかはなかったんですけど、突然にスピードが落ちて揺れを感じたので何かなと思って」

■緊迫の船内“20時間”乗客語る

 異常が発生したのは、24日午前9時ごろ。船内には点検を伝えるアナウンスがありました。

乗客
「海上保安庁を呼んでもらって、それをずっと待っていた」
「波に揺られていたので、早く揺られる波から解放されたかった」

 自力航行ができなくなってから3時間ほどで、海上保安庁の船による曳航(えいこう)が始まりましたが。

東海汽船
「海の状況が悪く、ロープが切れたりつけられなかったりしている」

乗客
「(海保が)牽引(けんいん)するために船同士をつなげる作業が見ていた僕らからするとロープをつなぐだけでも二次災害が怖かった」

 長い闘いは、そこからでした。

乗客
「やばいです。何回嘔吐したか分からない」
「乗っている時はもう吐き気と、ずっと吐いていて、皆、昼間くらいから体調を崩していて。途中なんかもう遭難みたいな感じになってどこに向かっているかも分からず、死んでもおかしくない」

■体調不良者が続出 「冷静に一致団結して」

 24日午後1時ごろには、海保の隊員が船に。夜には解決するかと思いきや、乗客は船で一夜を明かすことになりました。

乗客
「(海保から支給された食料は)ゼリーとおにぎりとパン。数が限られているので子ども優先で配る感じ。皆、冷静で怒りもなく、全員一致団結のような感じ」

 体調不良者は続出しましたが、症状の重い人はいませんでした。

乗客
「安心感というよりは疲労が大きい。助かった感よりは疲労困憊(こんぱい)の方が強い」

 乗客は7割ほどが出発地点の東京に戻り、残りは本来の目的地・式根島などに向かったということです。

 船の故障の原因はまだ分かっていません。

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