全国の主要な花火大会で、有料観覧席の浸透などを背景に「プレミアム化」が進んでいる。帝国データバンクの調査によると、有料席を導入している大会のうち、2024年に値上げしたのは過半に及んだことがわかった。同社は「花火の原材料費や人件費など、物価高により高騰した大会運営費を工面しようとの動き」と分析している。
国内で7~9月に開かれる動員客数が10万人以上の106大会を調査した。
「有料席」を設けているのは約7割にあたる79大会。うち、前回より「値上げ」したのは42大会、「据え置き」としたのは33大会、今回から「導入」したのは4大会だった。
有料席は、席の配置や広さ、付加するサービスなどで区分けされ、複数の金額を設定しているケースもある。
有料席の「最安値」と「最高値」の平均価格をみると、新型コロナウイルス禍前の19年の最安値は3676円だったのに対し、24年は5162円に上がった。「最高値」は2万1609円から3万4064円にそれぞれ上昇している。
有料席のうち、最も高額だったのは16万円(税込み)の「松江水郷祭湖上花火大会」(松江市)で販売された「VIPテーブル席」。会場の最前列に設置される4人席(1席あたり4万円)で、専用トイレや飲食がつく。帝国データバンクは「標準的なベースグレードの料金設定を底上げする動きが目立つ。23年に比べて花火大会全体で、有料席を中心にプレミアム化・高価格化が進んだ」と分析している。
こうした背景には物価高が影響している。運営費の多くを占めるのは花火の打ち上げコスト。今年1~5月の打ち上げ花火の輸入価格は1キロあたり2200円で、新型コロナ前の19年比で1・8倍に膨らんだ。安全対策に必要な会場設営費のほか、大会がある7~9月は各地でイベントが集中するうえ、人手不足も重なり、警備費用の大幅な予算増を余儀なくされている。
ただ、やみくもに値上げしても収益につながるとは限らないようだ。
有料席の導入が目立った23年の販売状況をみると、「知名度やアクセスの良さ、花火の打ち上げ規模などにより高額席の売れ行きに差があった」といい、プレミアム化の課題を挙げている。【嶋田夕子】
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