約400年続く奥能登伝統の祭り「飯田燈籠山(とろやま)祭り」が20日、石川県珠洲市で始まった。元日の能登半島地震の影響で、祭りのシンボルの燈籠山や各地区の山車(やま)の巡行は行われなかったが、市外へ避難した人を含め大勢の住民らが参加。2022年から3年連続で大きな地震に見舞われ、いまだ地震の大きな爪痕が残る中、住民らは復興への思いを新たにした。
祭りは同市飯田町にある春日神社の祭礼。高さ約16メートルの威容を誇る燈籠山のほか、8地区それぞれの山車が町内を巡行するのが見どころだった。だが、元日の地震で春日神社の鳥居が倒壊し、境内や社殿も大きな被害を受けた。町内には今も倒壊したままの建物が残り、道路は段差や亀裂があることなどから、燈籠山や山車の巡行は断念した。
この日は、午前中に神社で神事が行われた後、午後から市中心部で榊神輿(さかきみこし)を引いて復興を祈願。また各地区の子供らがステージで踊りを披露して祭りを盛り上げた。
各地区では、収納庫前で山車を披露し、集まった住民らが久しぶりの親睦を楽しんだ。地震後に金沢市に引っ越した会社員、作田昌吾さん(47)は「祭りは地域を結び付ける大切なもの。何があっても駆けつけたかった」。春日神社の葛原秀史宮司は「今年はできないと思っていたのでありがたい。少しずつ祭りを元に戻しながら、地域の再構築に貢献していきたい」と話した。【阿部弘賢】
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