土砂崩れが起きる前、ひび割れが確認されていた松山城付近の緊急車両用の道路=松山市で2024年7月1日(市提供)

 山頂に松山城(松山市)が建つ城山(標高131メートル)の斜面が12日未明に崩壊して3人が亡くなった土砂崩れで、2018年の西日本豪雨の直後に山頂付近の道路の路面に亀裂が生じ、今回の土砂崩れの発生前も同じような亀裂が入っていた。市への取材で判明した。土砂崩れはこの道路の下側で発生していて、市は19日、亀裂と土砂崩れの関連を調べる方針を示した。

 市は発生直後から「発生場所に関しては崩壊の予兆は確認できなかった」という姿勢を崩していない。

 市などによると、天守の東側には、救急車など緊急車両用の道路がある。城山では23年6月30日~7月1日の大雨の後、道路の下側の斜面を支える擁壁が傾いていた。このため、市は今年7月初旬に復旧工事を始める予定だった。

 ところが、今月1日に数メートルにわたって路面に亀裂があることを確認したことから、工程を変更。6~8日に路面の一部と擁壁を撤去し、ブルーシートで覆っていた。その影響で、路面と擁壁が撤去された部分の斜面は地盤が弱っていた可能性が高いという。

 路面の亀裂は18年の西日本豪雨の後にも、今回とほぼ同じ場所で発生していた。当時は軽微な亀裂だと判断して、樹脂で隙間(すきま)を埋める修繕をしていた。

 今回の土砂崩れを巡って、市は発生前日の11日に避難所を開設し、城山付近の住民に自主避難を呼びかけていた。ただ、避難勧告や避難指示は出していなかった。【鶴見泰寿】

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