栃木県の佐野市役所入口に設置されたクーリングシェルターを示すポスター(左上)と熱中症予防を呼び掛けるさのまるの看板=2024年4月23日午前11時33分、太田穣撮影

 熱中症対策として自治体が指定する「指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)」について、環境省は19日、全国710市区町村が計約1万1000カ所を指定済みだと発表した。

 環境省と気象庁は改正気候変動適応法(2023年成立)に基づき、過去に例のない危険な暑さが予測される場合に発表される「熱中症特別警戒アラート」の運用を今年4月に開始した。市区町村は冷房を備えた施設をクーリングシェルターに指定し、特別警戒アラート発表時に一般向けに開放することが義務づけられている。

 環境省によると、自治体の庁舎や図書館、公民館など公共施設のほか、ドラッグストアやコンビニエンスストアなどがクーリングシェルターとして指定されている。東京都港区の東京タワーのように、観光施設を指定するケースもある。都道府県別では、富山県と茨城県が全市町村で指定済みだという。

 熱中症特別警戒アラートは、気温や湿度、日差しの強さなどを基に算出する「暑さ指数」が、「都道府県内全域で35以上」と予想されるときに発表される。まだ発表されたことはないが、1段階下の熱中症警戒アラートは、今年に入って既に全国39地域で297回出されている(19日午後5時現在)。

 気象庁によると、7、8月は全国的に気温が平年より高くなる見通し。まだ指定が進んでいない地域もあり、環境省は「必要性や制度の意義が十分に伝わっていないケースがある。引き続き周知していきたい」としている。【山口智】

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