防衛省=東京都新宿区で、小川昌宏撮影

 海上自衛隊員が潜水手当を不正受給していた問題で、不正受給額がさらに約1000万円増える可能性があることが分かった。防衛省が明らかにした。12日に一斉処分を発表したが、依願退職していたため処分を受けていない元隊員6人の受給額約350万円が未加算だったうえ、処分に向けて調査中の隊員も8人いて約700万円を不正受給した疑いがあるとしている。不正受給の総額は5300万円超に上る見込み。

 同省によると、不正受給問題は2022年9月に発覚。海自の調査で17年4月~22年10月にかけて、潜水艦救難艦「ちはや」と「ちよだ」に所属していたダイバー計62人が深海で作業する「飽和潜水」の訓練を巡り不正に手当を受給していた。同省は12日に免職11人を含む65人を懲戒処分に、9人を訓戒などにしたと発表。不正受給額を計約4300万円と説明していた。

 だが退職した元隊員や調査中の隊員の不正受給額が加算されていなかったことについて、同省人事教育局の三貝哲局長は「従来の公表の考え方にとらわれず、把握できた内容をできるだけ詳しくお知らせすべきだった。隠蔽(いんぺい)する意図はなかった」と陳謝した。

 不正受給問題を巡り同省は、海自警務隊が元隊員4人を詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕し、4人とも横浜地検が不起訴(起訴猶予)としたことも明らかにした。うち3人は12日発表の免職11人に含まれていたが逮捕については説明しなかった。

 三貝局長は「通常、逮捕者が出ても捜査終結まで公表していない。今回も一部捜査が続いていたので、影響を与える恐れがあると考えた」とし、「不十分な内容で公表したことはミス。反省している」と話した。【松浦吉剛、中村紬葵】

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