神奈川県厚木市の県立知的障害者施設「愛名やまゆり園」で2023年、入所者3人を負傷させるなどしたとして、傷害と暴行の罪に問われた元施設職員、有泉祐斗被告(38)の公判が17日、横浜地裁小田原支部(内山慎子裁判官)で開かれ、検察側は懲役2年を求刑した。弁護側は執行猶予付の判決を求めて結審した。判決は8月2日に言い渡される。
検察側は論告で「重度障害者の生活支援の知識や経験不足などから、自分の思い通りに行動しない被害者らにいらだちを蓄積させて暴行に及んでおり、動機にくむべきところはない」と強調。「再犯を防止し、同様の犯行が行われないよう社会に警鐘を鳴らすためには厳正な処罰が必要だ」と指摘した。
弁護側は「真摯(しんし)に反省し、職場を懲戒解雇されるなど社会的制裁を受けている」とし、「職場環境は人員不足や、先輩職員による入所者への虐待が横行し、ストレスのあることなども影響した。常習性はなく、再犯の可能性は皆無だ」と訴えた。配属されていた職場環境について有泉被告は前回公判で、「職員の半数は利用者に虐待をしていた」などと証言していた。
最終意見陳述で有泉被告は「一時の感情を利用者にぶつけたことは本当に申し訳ないと思っています。自分の身勝手で上司や職員に正直に言わず、多大な迷惑をかけ深く反省しています」などと謝罪した。【遠藤和行】
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