防衛省は15日、米軍岩国基地(山口県岩国市)に米海軍の垂直離着陸輸送機「CMV22オスプレイ」とステルス戦闘機「F35C」が年内に配備されると明らかにした。いずれも在日米軍基地では初の配備となる。同省は、それぞれの機数は明らかにしていない。
松本尚・防衛政務官らが同日に岩国市役所を訪れ、福田良彦市長に説明した。同様に県庁でも村岡嗣政知事と面会し、趣旨を伝えた。米軍オスプレイの国内配備は、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)、横田基地(東京都福生市など)に続き3カ所目。
同省などによると、米海軍横須賀基地に配備されていた原子力空母「ロナルド・レーガン」が同型艦「ジョージ・ワシントン」と交代することに伴い、岩国基地配備の艦載機を変更する。艦載機のうち、C2輸送機がオスプレイに、戦闘攻撃機FA18スーパーホーネットの1部隊がF35Cに変更される。約60機あるとされる空母艦載機の数に大きな変更がないように調整するという。
事故懸念、地元住民は批判
オスプレイを巡っては2023年11月、米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)に向かっていた米空軍仕様の「CV22」が鹿児島県・屋久島沖で墜落する事故が起きた。横田基地から岩国基地を経由し、沖縄に向かう途中だった。
岩国市役所で記者団の取材に応じた福田市長は「オスプレイについては昨年の事故以来、市民から不安の声がある。F35Cも国内初配備であり、オスプレイの安全性も含めて国に詳しい説明を求め、総合的に判断したい」と述べた。また、山口県庁で取材に応えた村岡知事は「安全性については、国が責任を持って『大丈夫だ』と言えるかどうかを改めて確認する必要がある」と語った。
一方、住民からは批判の声が上がった。岩国基地周辺の住民らがつくる「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」事務局長の久米慶典さん(68)は「昨年のオスプレイの事故は原因が公表されず、抜本的な対策が取られていない。安全性の確認されていないオスプレイを配備するのは、市民の気持ちをないがしろにするものだ。県や市は配備反対を表明すべきだ」と主張。「F35Cも配備され、これからも際限なく基地の機能強化が続く可能性があり、住民は過重な負担を強いられる」と憤った。【大山典男、脇山隆俊】
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