海賊版サイト「漫画村」(2018年4月に閉鎖)で作品を無断公開されたとして、出版大手3社が、著作権法違反などで実刑が確定した元運営者の星野路実元受刑者(32)に総額約19億3000万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(杉浦正樹裁判長)は18日、計約17億3600万円の支払いを命じた。
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「海賊版サイトの問題を広く訴える契機になったと評価している」。判決後、東京都内で記者会見を開いた原告側の一人で、海賊版対策に取り組む一般社団法人ABJの伊東敦・広報部会長は話した。伊東氏によるとこれまでに、日本発の海賊版サイトはほぼ消滅したといい「(訴訟の)効果があった」と強調した。また、原告代理人の中川達也弁護士は「刑事裁判だけでなく、民事においても、運営に関与する者が重大な責任を負うことが明確になったことに意義がある」と地裁判決を評価した。
海賊版サイトの被害のピークは2021年秋で、上位10サイトの月間アクセス数が4億、同年に無料で読まれた漫画の被害額は約1兆円に上った。近年は減少傾向にあるものの、海外発の海賊版サイトによる被害はなお深刻だ。現在もABJは1000以上の海賊版サイトを把握しており、日本国内からの月間のアクセス数は1億程度あるという。しかし、海外に運営者がいる場合、海外当局の協力が必要で、摘発に至るのは難しいのが現状だ。
海賊版サイトを食い止める技術的に有効な手段はほぼなく、運営すれば、刑事罰を科されたり、多額の賠償金の支払いを命じられたりすることを示して抑止するのが最も効果的な手段となっている。伊東氏は「今後、日本でうまく抑え込めた一連の流れを、海外でもやっていくのが出版社の務めだと思う」と話した。【諸隈美紗稀】
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