兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題に関連し、片山安孝副知事は12日、7月末で辞職する意向を明らかにした。文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)が死亡するなど、県政の混乱に対する引責で、12日中に退職届を提出する。報道陣の取材に「(11日までに)計5回、知事に『ご進退をお考えになりませんか』と進言した」と明かした。
斎藤知事の右腕的存在の副知事の辞職により、知事自身の進退問題への発展は避けられない情勢となった。
取材に対し、片山副知事は「県政の混乱を招いたことに対する責任を重く受け止める」としたうえで、「知事に『ご一緒に退職する考えはありませんか』と申し上げた。知事は『自分は選挙で負託を得た身なので任期を全うして頑張りたい』と。これは知事の判断なので尊重したい」と話した。
県議会が文書の事実関係を検証する調査特別委員会(百条委)を設置する前の6月にも、自身の辞職と引き換えに百条委設置議案提出を断念するよう県議らに打診していた。知事を守る趣旨だったとみられる。県職員労働組合から、知事宛てに事実上の辞職勧告に当たる申し入れ書を受け取った10日には、報道陣に「進退までも含む(申し入れである)ようなら、政治家として知事が判断されるべきだ」と述べていた。
片山氏は、人事課長や産業労働部長などを歴任した後、斎藤知事が就任した翌月の2021年9月、副知事に就任。県議会との調整役など知事の最側近として県政を支えていた。
19日の百条委に証人として出席する予定だった元局長が7日、同県姫路市の親族宅で死亡しているのが見つかり、知事や県幹部に対する批判が強まっていた。
一方、斎藤知事は10日の記者会見で「県政を立て直すことが最大の自分の責務だ」と辞職を否定した。【中尾卓英、山田麻未】
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