原子力規制委員会の次期委員への就任が決まった名古屋大名誉教授の山岡耕春氏=東京都港区で2024年4月18日午後2時、高橋由衣撮影

 9月に任期満了で退任する原子力規制委員会の石渡明委員(71)=地震・津波担当=の後任となる、山岡耕春(こうしゅん)・名古屋大名誉教授(65)が18日、報道陣の取材に応じた。山岡氏は、地震大国・日本における規制委の安全審査について「日本はどこにいても地震の揺れに注意が必要。原発ごとの地震のリスクやハザードが与える影響について、独立した立場で審査したい」と述べた。

 山岡氏は地震学と火山学が専門。日本地震学会会長などを歴任し、現在は地震予知連絡会会長を務めるほか、国の中央防災会議で南海トラフ地震の予測可能性を検討した。

 17日には南海トラフ地震の想定震源域内でマグニチュード(M)6・6の地震が起きたばかり。愛媛、高知両県で最大震度6弱を観測し、四国電力伊方原発(愛媛県)でも揺れが起きた。今年は、最大震度7を観測し北陸電力志賀原発(石川県)が被災した能登半島地震(M7・6)など、原発の立地自治体やその周辺で地震が起きている。

 山岡氏は、17日の地震と南海トラフ地震との関係性は「影響がないとは言い切れないが、無視できる程度」との見解を示した。その上で、東京電力福島第1原発事故を規制委の「原点」とし、「一度地震が起きたら、そこからどういう知見や教訓を得るのかはとても大事なこと」と指摘。審査で新しい知見を反映する必要性を強調した。

 規制委員は2人が任期満了で交代。核燃料サイクル施設を審査する田中知(さとる)委員(74)に代わり、カナダ・マクマスター大教授の長崎晋也氏(61)=原子力工学=が就任する。任期は5年。規制委は4月18日付で、山岡氏と長崎氏を参事に任命した。【高橋由衣】

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