2000年に発売された「沖縄オバァ烈伝」(双葉社)。沖縄戦、米軍支配、日本復帰という激動の時代を生き抜いた“オバァたち”の「超越した生きざま」が受け、沖縄だけで10万部が売れるベストセラーとなった。20年を経ても客から在庫の問い合わせが絶えない人気ぶり。書店からの強い要望で、ことし2月、初版から24年ぶりに文庫本が復刊した。発売直後に県内書店の週間ランキングで1位になるなど異例の売れ行きとなっている。(東京報道部・照屋剛志)

 ハブにかみつかれたままそのハブをブロックでたたいて退治したオバァ、81歳と83歳の姉妹でスナックを経営するオバァ、ブナガヤ(木の精)を見たと言い張るオバァ-。

 沖縄オバァ烈伝には、オバァたちの強烈なエピソードが並ぶ。00年に発売されると瞬く間にヒットし、03年には文庫化された。県内だけでも10万部が売れた。続編「オバァの喝」、番外編「オジィの逆襲」も人気となり、3冊で累計20万部を売り上げた。

 ジュンク堂書店那覇店の森本浩平エグゼクティブプロデューサーは「昨年最も売れた本でも7千部。オバァ烈伝はおもしろさも販売実績も桁違いだった」と語る。

 復刊は、書店員たちの要望がきっかけだった。

 球陽堂書房西原店の佐久川幸子店長は、在庫が切れた10年ほど前から双葉社に復刊を求めていた。「お客さんからもたびたび問い合わせがあり、人気は衰えていないと思った」。双葉社には他の書店からも要望が絶えなかったという。

 人気だったとはいえ、20年以上も前の本。今の時代に売れるか不安はなかったのか。双葉社営業局の牧山知生さんは「オバァの突き抜けた世界観は、今だからこそ受け入れられると思った」と話す。

 同社は1990年代から沖縄関連本を30冊以上出版してきた。泡盛、大衆食堂、路線バスの旅など沖縄の独特な文化にスポットを当てた企画が多い。牧山さんは「これだけ話題豊富な地域は沖縄だけ。しかも情報がディープになるほど売れる」と語る。

 これまで手がけてきた沖縄関連本の中でも「オバァ烈伝はエピソードが強烈でかなりディープ。若い世代も新鮮に受け取ると考えた」。会社を説得し、オバァ烈伝を2月に、オバァの喝を3月に復刊した。

 予想は当たった。

 ジュンク堂書店那覇店では復刊の翌週に週間ランキングトップを記録。6月までにシリーズ2冊で300部超が売れた。森本さんは「目を見張る異例の販売スピードだ」と驚く。

 特に県民や県外の沖縄ファンに売れているという。

 経済の低成長に物価高、SNSでは炎上を恐れ、閉塞(へいそく)感の漂う昨今。佐久川さんは「相手をおもんぱかりながらも長いものに巻かれず、忖度(そんたく)もしない強い生きざまは今の時代を窮屈に感じる人たちから支持されている」と分析。「笑い過ぎて眠れなくなるので、寝る前に読むのはやめた方がいい」と注意を呼びかけた。

 沖縄オバァ烈伝、オバァの喝共に税込み935円。

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1382492

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