地震の影響で山から落ちてきた石や木が散乱した国道197号=愛媛県大洲市で2024年4月18日午前8時48分、本社ヘリから加古信志撮影

 17日午後11時14分ごろ、愛媛、高知両県で震度6弱を観測する地震があった。震源は豊後(ぶんご)水道で、震源の深さは39キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・6と推定される。揺れは中部~九州地方で震度5強~1が観測された。

 気象庁によると、この地震で津波は観測されなかった。両県で震度6弱を観測するのは、1919年に震度が公表されるようになってから初めてという。気象庁は、今後1週間程度は震度6弱の地震に注意するよう呼び掛けている。

 今回の震源は、南海トラフ巨大地震の想定震源域にある。ただ、気象庁は、巨大地震が発生する可能性が高まったとは言えないという見解を示した。

 南海トラフ巨大地震の想定震源域内や周辺でM6・8以上の地震が発生した場合、有識者による評価検討会を臨時で開いて巨大地震との関連を調べることになっている。だが、今回の地震は基準に満たなかった。

 18日未明に記者会見した原田智史・気象庁地震津波監視課長は「南海トラフ地震の可能性が高まったとも低くなったとも言えることはないが、他の地域と比べて地震が続発する可能性は比較的高い。震度6弱程度の地震が起きることも念頭に置きながら、ここしばらくは過ごしてほしい」と注意を呼び掛けた。

 愛媛県は18日、この地震の影響で6人が自宅で転倒するなどして救急搬送されたと発表した。いずれも軽傷という。

 高知県では、震度6弱を観測した宿毛市で40代男性が地震の不安から呼吸困難になり救急搬送されたが、命に別条はない。

 大分県によると、大分市内の70代女性が自宅でベッドから転落。津久見市では80代男性が自宅で転び、腕を負傷した。いずれも軽傷という。

 一方、原子力規制庁や四国電力によると、四電伊方原発(愛媛県伊方町)に異常は確認されていない。稼働中の3号機は出力が約2%低下したが、運転への影響はないという。発電に使用するタンクの復水系統がバックアップに切り替わった影響。敷地内では最大38ガル(ガルは加速度の単位)の揺れを観測した。

 規制庁によると、中国電力島根原発(島根県)▽九州電力玄海原発(佐賀県)▽九電川内原発(鹿児島県)でも異常は確認されていない。【藤河匠、竹田直人、広瀬晃子、竹林静、高橋由衣】

 主な各地の震度は次の通り。

 震度6弱=愛媛県愛南町、高知県宿毛市▽震度5強=愛媛県宇和島市▽震度5弱=八幡浜市、大洲市、西予市、内子町、鬼北町、大分県津久見市、佐伯市

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