川崎重工業が海上自衛隊の潜水艦乗組員らに物品などを購入していたとされる問題で、複数の取引先との架空取引を通じて捻出した裏金は年間1億円超に上り、ほとんどが使い切られていたことが関係者への取材で明らかになった。裏金作りは遅くとも10年以上前から始まった可能性があることも判明した。
裏金は商品券などの購入や飲食接待に使われていたとされており、川重と海自による長年の慣習になっていたとみられる。関わった海自隊員が多数に上る疑いも浮かんでいる。
この問題は大阪国税局の税務調査で発覚。川重は2023年3月期までの6年間で、十数億円の申告漏れを指摘され、重加算税を含む追徴税額は6億円に上るという。川重は24年3月期までとしていた説明を修正した。
関係者によると、裏金は川重神戸工場(神戸市)での潜水艦の点検・修理業務に絡んで捻出。川重は取引先6社を介し、資材発注などを装った架空取引により、年間1億数千万円に上る裏金を作っていたことが明らかになった。
神戸工場で潜水艦の定期的な点検や修理をする際には海自隊員が近くの施設に数カ月間滞在し、川重社員と共同で作業する。隊員側から物品の購入希望があるごとに架空発注を繰り返す仕組みだったとされる。
国税局の調査で、裏金が作られ始めた時期は10年以上前にさかのぼることも判明。裏金による海自側への供与が常態化していた疑いがある。川重は特別調査委員会で詳しい経緯を調べており、年内に調査結果を公表する方針という。【井手千夏】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。