内閣府男女共同参画局が若年層の痴漢被害に関するオンライン調査を初めて実施し、4日に報告書を公表した。女性の13・6%、男性の3・6%が「被害経験がある」と回答。男女あわせて、およそ10人に1人の割合で痴漢被害にあっていることが分かった。
調査は今年2月、16~29歳の登録モニターを対象にアンケート形式で実施した。第1段階の「スクリーニング調査」には3万6231人(女性2万4566人、男性1万1200人、その他465人)から有効回答があり、「痴漢被害を経験したことがある」と答えたのは10・5%にあたる3804人(女性3348人、男性404人、その他52人)だった。
被害実態の把握を目的にした「本調査」(有効回答数2346人)によると、初めて痴漢の被害を受けた時の年齢は「16~19歳」が46・4%と半数近くで、「15歳以下」が35・4%だった。
直近の被害についての調査では、被害にあった場所は「電車内」(62・8%)が最多。向かっていた場所は「学校」(32・2%)、「自宅」(31・5%)が多く、時間帯は「6~9時」(34・5%)、「18~21時」(18・2%)と通勤・通学時間帯が目立った。加害者の性別は「異性」が85・2%を占め、「同性」4・3%、「よくわからない」10・6%だった。
警察などへの連絡の有無(複数回答)は「警察に知らせた(被害後すぐに)」が9・9%にとどまり、「警察や関係機関の職員には知らせなかった」が80・4%と大半。これまで被害を受けた際に警察に通報しなかった理由(複数回答)は「おおごとにしたくなかったから」(41・1%)が最も多かった。
痴漢被害の影響(複数回答)としては「外出するのが怖くなった」(17・5%)、「被害を受けた時の感覚がよみがえるようになった」(14・6%)、「異性と接するのが怖くなった」(13・1%)、「心身に不調をきたした」(10・5%)などの回答があった。
内閣府は2023年3月に警察庁、法務省、文部科学省、国土交通省と「痴漢撲滅に向けた政策パッケージ」を策定。実態の把握と被害者支援、社会の意識変革に取り組んでいる。
男女間暴力対策課の田中宏和課長は「学校に向かう途中での被害が多く、学校での適切な対応が求められる。(画面表示や音声で助けを求めることができる)警察の防犯アプリなどもぜひ活用してほしい」と呼び掛けている。【山崎明子】
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