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将棋の女流棋士、西山朋佳女流三冠(29)が4日、朝日杯将棋オープン戦で阿部光瑠七段(29)に勝利し、棋士編入試験の受験資格を獲得した。
今後1カ月以内に、試験を受けるかどうか決断することになるが、もし受験して合格すれば、史上初めて女性の「棋士」が誕生する。

■ 5人の棋士と対局 3勝すれば合格だが…

朝日杯将棋オープン戦は持ち時間が40分ずつと短い棋戦だ。
午前10時に始まった対局は後手の西山女流三冠が中盤、ほとんど時間を使わず阿部七段との残り時間の差は一時、10分以上も開いた。
好調に攻める西山女流三冠に対し、阿部七段も必死の反撃を見せ、最終盤は2人とも一手60秒未満で指さねばならない「1分将棋」に突入。

激しい戦いを制したのは西山女流三冠。最後は的確な指し回しで敵玉を追い詰め、106手までで阿部七段の投了となった。

西山女流三冠はこの勝利により、棋士が参加する公式戦での直近の成績が「10勝以上なおかつ勝率6割5分以上」という条件を満たし(13勝7敗、勝率6割5分)、棋士編入試験の受験資格を獲得した。

将棋界では「棋士」は「女流棋士」と別制度だ。そして、これまで棋士になった女性はいない。
2022年に福間(当時は旧姓・里見)香奈女流五冠(32)が女流棋士として初めて棋士編入試験を受験した。
5人の棋士と対局し3勝すれば合格だったが、初戦から3連敗し、棋士になることはかなわなかった。
女性の編入試験受験はそれ以来のことだ。

棋士になる通常のルートは、棋士養成機関「奨励会」に入会し、年2回行われる三段リーグで上位2人に入って四段に昇段する…というものだ。
西山女流三冠もかつては奨励会に在籍して棋士を目指していた。
2018年10月からの三段リーグでは、14勝4敗で西山女流三冠を含めて3人が並んだが、前期の成績で下回っていた西山女流三冠は“3位”となり、惜しくも四段昇段を逃した。

2021年、奨励会を退会し「女流棋士」に転向。
福間女流五冠と、女流棋士の8大タイトルを分け合う「2強」時代を続けてきた。
そのライバルが2年前に跳ね返された、棋士の“厚い壁”を打ち破ることはできるのか。
まずは獲得した受験の”権利”を、実際に行使するかどうか。西山女流三冠の決断に注目だ。

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