「ジャーナリズム研究 関西の会」の歴史を振り返る代表幹事の滝沢岩雄さん(左)と幹事の藤田修二さん=大阪市北区の毎日新聞大阪本社で2024年6月17日午後2時1分、大坪菜々美撮影

 新聞社のOBらでつくる「ジャーナリズム研究 関西の会」が2日、解散することが決まった。戦後の創設時から世相を読み説き、メディアの在り方を模索してきた通称「ジャナ研」。近年は会員の減少などによって75年の歴史に幕を閉じることになった。

 「侃々諤々(かんかんがくがく)の熱い議論で、2次会でもその熱は残ったままだった」。毎日新聞社OBで幹事の藤田修二さん(82)は、過去の会報をめくりながら活動を振り返った。

 ジャナ研は、戦後間もない1949年に「新聞学研究会」として創設された。失業や食糧難など混乱期にあって戦争に導いた戦前の反省に立ち、「これからの新聞はどうあるべきか」を考えるため、毎日新聞社と朝日新聞社の計8人が社の壁を越えて立ち上げた。

 2007年に現在の名称に変更。年5~6回、大学教授や新聞、放送各社のOBらを講師に招いて、「メディアの変容と危機」や「いま新聞業の経営は」など、さまざまなテーマで例会を開いてきた。一時休会状態もあったが、2000年代の最盛期には新聞社や雑誌、放送関係者ら法人・個人会員約80人が加入していた。

 しかし、近年では会員の高齢化と新規加入者の減少で、会員は30人ほどになった。収入の改善にめどが立たなくなり、例会通算300回を節目に解散を決めた。最後となった3月の例会のテーマは「大丈夫か?大阪・関西万博」だった。

 藤田さんは「現役の記者を含め、ジャーナリズムの在り方を皆で共有し、刺激し合えた」と語る。

 代表幹事で毎日新聞社OBの滝沢岩雄さん(78)は「これだけの会を維持してきたことはすごいこと。自分の代で解散するのは残念だが、今後は若い人たちがどんどん新しい会を立ち上げていってほしい」と後進に思いを託した。【大坪菜々美】

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